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・第3回「最新 沖縄舞台のまんが」2017年版

近年、沖縄が漫画の舞台となる作品が増えてきました。
書店で週刊誌やコミックをチェックしていると、その数は驚くばかりです。

けれど、あまりにも知られていない作品が多すぎます。もったいない。

聖地巡礼とか、アニメツーリズムとかで、舞台となった地を訪れるマニアの方もいるほどですから、作者の方々には、観光振興の上からも感謝状を送ってもいいのではないかと思うほどです。

そこで今回は、最新の作品(2014年以降)で、沖縄を舞台として取り上げた作品の数々を紹介します。

 最初に紹介するのは、「極黒のブリュンヒルデ」(岡本倫/著 集英社)第15~16巻です。

 驚異の記憶力を持つ少年・村上良太と、謎の組織によってつくられた様々な超能力を持つ<魔法使い>少女たちの出会いと壮絶な戦いを描くSFダーク・ファンタジー。

第15巻から16巻にかけて、主人公たちは高校の修学旅行で石垣島を訪れます。

はるかな古代に地球を訪れ人類を創造した神(宇宙人)と関連する謎解きをバックボーンに展開される壮絶な日常の中、訪れた平穏の時かな? 血がいっぱい出るけど、興味持ったら読んでみてください。


 


 続いて紹介するのは、ライトノベルから登場したヒット作品のコミック「魔法科高校の劣等生~追憶編~」(佐島 勤/原作 依河和希/作画 KADOKAWA)

 舞台は2092年の沖縄・恩納村。

 魔法の名家・四葉の次期当主候補の深雪は、家族旅行で沖縄の別荘を訪れる。

母と魔法以外では優秀な兄・達也とともにー。兄弟でありながら、家の中では明確な差別が存在する中で、深雪は兄との接し方で戸惑い、心が揺れ動く。

 魔法科高校の優等生・深雪が、本編で見せる態度の背景がエピソードとして明らかにされていく……。

本ライトノベルのファンにはたまらない一冊かも。

「あそびにいくよ!」(著/888 原作/神野オキナ メディアファクトリー)第10巻

 アニメ化もされ、しばらく続いていた連載も、2014年刊の第10巻でマンガ版は終了。

マンガ版のオリジナルエンディングに注目! 

沖縄ティスト満載の作品だったのに、アニメ放映は真夜中とか、今一つ地元での認知度が低かった気がして残念。

でも作品は良かったと思う。



「ぐらんぶる」第4巻(著/吉岡公威 原作/井上堅二 講談社)

 青春ダイビング・コメディーが、ついに沖縄合宿を敢行。

ライセンス取得のステップなんかは真面目なんだけど、とにかくおもしろくて、ちょっぴりエッチ?

いや男の全裸があふれていて、そりゃあもう黒塗りばっかでー。

 



「マーメイドボーイズ」第1巻~(さらちよみ/作 講談社)

宮古島を舞台に展開する人魚の王子の物語。

 少女・波に一目ぼれした人魚の王子・ナルは、その恋をかなえようと人間になって上陸。

波の家に居候することに……。

人魚の王国の権力を狙う魔術師の陰謀もあって、次々と人間になった人魚が現れる。

 楽しいラブコメです。

 

「なんくる姉さん」(漫画/ヤス 原作/久米田康治 講談社)

 舞台は、埼玉県入間市。

他人の視線を激しく気にする青年・一茶が出会った小麦色の肌のお姉さん。

 取り壊しとなった家から追い出された一茶は、そのお姉さんに勧められるまま、「なだそう荘」に妹とともに引っ越すことにー。
 何事にも動じない他の不思議な同居人たちとともに、展開されるコメディータッチのストーリー。

読んだ人が、「なんくるないさー」で、ストレス過多の現代を乗り切られることを祈りたいと思います。

 舞台は、1巻ラストから沖縄へ移ります。



「はるかなレシーブ」第1巻~(如意自在/作 芳文社)

 ビーチバレーのコミックス。

 身長が高いことにコンプレックスを持っていた遥は、低いが故に自らペアから離れていったかなたと出会い、ビーチバレーの世界へと踏み込んでいく。

 互いに相手を想い合う中で、かなたは少しずつ過去の自分と向き合って遥に心を開いていく。

 舞台は沖縄。

ライカムとかの話題が出てくるので、場所は中部あたりか?

ビーチバレー競技の世界を学ぶのに良い作品。

「海辺のエトランゼ」(紀伊カンナ/作 祥伝社) 

BLコミックです。

 小説家の卵でゲイの駿は、両親を亡くし孤独な少年・美央と海辺で出会う。

居場所を求めて彷徨う二つの魂の出会い。

3年の間を空けて、自分の気持ちを確信した美央は、駿のところへ帰ってきて……。

しっとりとしたボーイズラブが好みの方向け。

 あらすじで「沖縄」が舞台とされていて、それなりの景色描写もあちこちあるけど、生活空間に沖縄らしさが希薄に感じるのは私だけ?

続編があります。

「神様のハナリ」全3巻(吉村拓也/作 集英社)

 舞台は、八重山の架空の島・渼母里島。

あふれる豊かな自然とゆったりとした時間が流れる島で、東京からきた望は、不思議な少年?六と出会う。

 人間関係や様々なしがらみに疲れた人たちを癒すヒーリング・ファンタジー。

 

 


「沖縄ヤクザ10年戦争」(武喜仁/作画 脚本/二条凛 笠倉出版社)

 本土復帰前の沖縄における勢力争いを描く。

 すでに3冊ほど似たようなものが刊行されているのだけど、ニーズがあるのかな。

その筋の方には、お勧めのコミックかも。

 



「ムシヌユン」第1巻~(都留泰作/作 小学館)

 「ナチュン」の作者の最新作。

 今度の作品は、沖縄の架空の島・与那瀬島を舞台に展開される怪奇SFだ。

 世紀の天文ショーで沸く島。

コミュ障の青年は、帰ってきた島で奇怪な虫と遭遇して……。

これは幻覚? 長くなりそうなストーリーです。

「戦争めし」(魚乃目三太/作 秋田書店)其の四「収容所の焼きめし」

 戦中戦後の感動の食にまつわるエピソードを集めた短編集。

 第4話で取り上げられたのは、沖縄の屋嘉捕虜収容所での話。

飢えた日本兵捕虜に与えられたのは、スパムの缶詰! 

捕虜たちは、それを使って焼き飯を作り……。

米兵たちがスパムの焼き飯を食べて喜ぶシーンがおもしろい。

「ちっちゃいときから好きだけど」第1巻~(春木さき/作 講談社)

 2013年の第1巻から続く人気の連載少女マンガ。幼稚園の頃から幼馴染同士のつばさと翔。

 高校生になって、翔のことが好きなつばさは、周囲の影響を受けながら舞い上がったり暴走したり、悶々としたりして喜怒哀楽が激しい日々を送りながら、二人の気持ちを確かめ合っていく……。

ラブストーリーね。

 


「人魚王子」(尾崎かおり/作 新書館)

 島に嫁いできた姉に連れられ、島にやってきた少年・麦。

父親の再婚という出来事に揺れる真鳥。

互いに複雑な家庭環境を背負って揺れ動く二人の心。

そんな中、麦の姉の夫・光太郎が、ダイバーを助けようとして海で流され行方不明になる。

絶望視される中、麦と真鳥は、出会った人の願いを叶えてくれるという人魚を探すため、「人魚の穴」という断崖下の洞窟へと向かう……。

 ※)舞台のモデルは宮古島と思うけど、作中にも断定するセリフ等はない。

唯一「沖縄」という文字が食堂の看板にあるだけ。

けれど、方言のセリフ、植生描写も含めて、「沖縄コミック」。

裏表紙には宮古島が舞台と明記されてます。

次はとてもマイナーな作品を紹介。

「STRANGER」(漫画/あびゅうきょ 原作/佐藤守 青林堂)

この作品、「ジャパニズム」に連載されていたのだけど、隔月刊だし、果たしてコミックとしてまとまって出版されるのか心配していたほどでした。

 こうして、コミックスとして世に出たのがうれしいです。

 さて、本作は航空自衛官が体験した未確認飛行物体との遭遇事件を元にした作品。

主人公のパイロット・星野三尉は、沖縄近海で未確認飛行物体と遭遇するが、上官からは精神状態を疑われ、飛行停止処分を受けてしまう。

 そんな星野の前に現れたジャーナリスト・小野沢未来。

彼女の目的は何か? 

史実と沖縄のニライカナイ信仰を織り交ぜながら、物語は奇妙な展開を見せていく……。

 最後の締めくくりは、2017年4月末刊行のぱりぱりの新刊。

 「魔法少女特殊戦あすか」第4巻(原作/深見真 作画/刻夜セイゴ スクウェア・エニックス)

 まさか、沖縄に舞台を移すとは思ってもいなかった。

カラーで宜野湾からスタートする。

謎の生物・地冥界(ディスアス)の侵攻と戦う魔法少女達の活躍を描く、血みどろの超硬派バトルアクション! 

 戦闘の舞台は、……なんと那覇市だぁ。

 

他にもたくさん作品はあるけど、また今度紹介します。


2017年6月 量産工房