竹取物語番外編
七 夕 伝 説
 
 竹竿を作るようになって,道ばたに生えている竹や笹が宝の山に見えてくるようになった。
 しかし,いざ竹藪に突入しても気に入った竹というものはなかなか見つかるものではない。
 そう,竹取の翁もかぐや姫を見つけようと竹藪へ入ったわけではなく,たまたま偶然にかぐや姫を見つけてしまったわけだ。
 
 っというわけで,出会いとういうものは突然やってくる。
 
野布袋との出会い
 たまたま家族で鮎の梁漁を見に行った時に,伐採放置されている竹を見て「あれっ?」っと思った。
 節の下側がわずかではあるが膨らんでいる。真竹の小藪だと思っていた竹藪はなんと野布袋の藪だったのである。
 ただ,断面がかなり扁平しており,竿に使うにはちょっと難しいかな?
 時期的にも竹を採取するにはまだ早く,「そんなもの車に積まないで」と言わんばかりの家族の視線もあって,後日改めて採取させてもらうことにして帰路についた。
 そして,寒が厳しくなった12月,ついに剪定ばさみを持ってその場へ行ったのだが・・・なんと工事の関係で重機の出入り用に進入路を広げるとうことでばっさりと伐採され,しかも関係者以外立入禁止の看板が・・・・。
 結局,ゲート付近に転がっていた伐採放置竹から痛みの少ないものを3本ばかし拾って帰るのが精一杯だった。
 
高野竹との出会い
 これまた家族旅行の途中に偶然発見した。
 3月下旬,そこは四国の峠道で過去に何度も通ったことのある道だったのだが,いつも薄暗い時間にすっ飛んで走っているため周囲をあまり観てなかった。
 その日は明るい時間にのんびりと峠を走っており,道ばたの笹の藪がどうも稈の感じがクマザサとは違うことに気づいた。車を止め道路際の土手を観てなんとびっくり,写真でしか見たことのなかったスズタケがイパ〜イ生えてる〜〜。しかも川の土手には2mを超す大物スズタケも〜〜〜〜@@)
 曲げてみると非常に粘りがあり,芯のある強い反発力を感じた。
「お〜,これが高野竹か〜!」と感動したが,さすがに家族が乗っている車中に竹を積みこむわけにもいかず,竹の採取はあきらめた。
 それ以来,スズタケの姿が頭から離れず,県内に自生地がないか調査を始めた。しかし,文献や自然誌を調べても県内で5カ所しか見つからず,しかもピンポイント情報がないため現地へ行っても発見できない日が続いた。
 その後,6月に栃木県の山中の温泉へ行った際に,道中バスの中からやはりスズダケと思われる竹が沿線に多数生えているのに気づき,到着して早々に周辺を散歩がてらチェックしてみると・・・・「こんなにたくさん生えてんの〜?」ってくらいスズタケがびっしりと生えていた。ただ,時期的に竹採取の適期を完全に過ぎており,仮に獲ったとしても1mを越す長さの小汚い竹を何本も抱えてバスに乗るわけにもいかず,ただ指をくわえて眺めるに過ぎなかった。(翌朝こっそりと部屋を抜け出して,遊歩道沿いに生えてた5cm程の苗を引っこ抜いてペットボトルに入れて持ち帰りました。。うまく活着してくれるだろか???)
 
そしてついに県内でも・・・
 4月下旬に,仕事で通りかかった道中でそれらしい怪しい竹藪を発見していたのだが,急ぎの仕事で現場へ向かう道中であり車を止めて確認するわけにも行かずそのままになっていた。
 7月に入ってようやく,その怪しい竹藪への再訪の機会があり・・・
「お〜,かぐや姫よ,こんな所にいたか〜〜〜!!!!」
 標高200m程の場所であり,まったくマークしていなかった低山の沢沿いにわずかな自生地があったのだ。
 かくして念願のかぐや姫と出会えたのであった。
 かぐや姫は日当たりの悪い人工林の際でほっそりと育ち,とても竿の材料になるようなテーパーのものは見つからなかったが,ここで地下茎を採取して条件のいいところで栽培すればかならずフライを月まででも運んでくれるすばらしい竿材が育つに違いない。
「よし,秋になったら地下茎を掘らせてもらおう。。。」
って山の所有者が判らなんのよね〜。
 こうしてみると私自身は竹取の翁ではなく織姫に会いたくてもなかなかあえない彦星だったような気がする。
 竹取物語ではなく七夕伝説だったようだ。
 かささぎは何時飛んで来てくれるんじゃ〜!
 
 
20040707:up
 
 
釣りに行くメニューに戻る
又七の屋敷メインメニューへ戻る