遠軽の白い25時間
2004湧別原野
 
 青い空にくっきりと巌望岩がそびえ立っている。
 昨日とはまったく打って変わって穏やかな晴天となった。
 しかし、昨日の吹雪のおかげで遠軽に25時間も滞在することが出来た。
 っと言っても何をするでもなく、ただ道央への交通が再開するのをひたすら待ち続けた25時間だったのだが・・・
 
 今回の旅は、出だしから悪かった。
 何が悪かったかというと、航空券の予約。今回は、マイルが貯まっていたので特典航空券がもらえると思い、のんきに構えていたのだが、特典航空券の座席数には限りがあったらしく、往路の直行便を取り損ねたのだ。
 しょうがないので、羽田経由で行くことにし、とりあえず「広島−羽田」の超割を急遽購入した。
 まあ、航空券を通常価格で購入されている方からみれば、なんだその程度のこと、、っと思われるかも知れないが、緊縮旅行を強いられる私にとって、1万円というのは非常に辛いモノがあるのだ。
 
 そして2月19日にこの旅は始まった。
 途中、富士山が綺麗に見えて、羽田で少々過ごした後に千歳行きへ乗り継いで無事札幌まで行き着いた。
 ホテルにチェックインした後(何故かツインルーム)早速ニッセンスポーツへ行きA島さんに挨拶し、よいところで夕食。
 ニシンのタタキ、カニミソ、マイタケベーコン炒めそしてイカ納豆、、ウマ〜!
 
 20日、朝食後に駅裏のサンコスモスで札幌−遠軽の割引切符を購入し指定席を確保するため緑の窓口へ行った。
 しかしなんと、帰りの特急の指定席が満席!
 今思えばこの時点で既に「白い25時間」に向かってカウントダウンが始まっていたのかも知れない。
 とりあえず往きの指定だけ確保し、列車の出発時刻まで時間があるのでテムズで油売りながらタックルを買った。
 昼食は去年胃痛で食べきれなかったこともあり再びリオンドールでスパゲッティに挑戦。すんなり完食し、ホワイトアロー13号に乗り込んだ。
 列車は定刻通り出発。岡山のNさんも今年は千歳経由で来ており、合流した。そして旭川で特別快速きたみに乗り換えて白滝村へ到着。
 
 白滝駅からはNさんが毎年民泊しているM薬局のおじさんが今年も白滝グランドホテルまで送ってくれた。毎年々ありがとうございます。
 ホテルに着いてからはまず温泉に入り、続いて夕食・・・・今年は難なく完食!
 夕食後は練習用のワキシングを・・・っとワックスルームへ行くと・・・・延長コードがない。。タラ〜汗!
 しょうがないので、とりあえずCH8+CH6を生塗りし、スコッチブライトで擦ってお茶を濁した。
 生塗りのためワキシングが思ったより早く終わったので再び風呂に入り、売店で土産物を物色していると、フロントにNさんから電話が入った。
 明日の朝からの予定が決まった。
 
 21日、朝食を食べ終わる直前にMさんとNさんがホテルへ迎えに来てくれた。
北大雪スキー場から支湧別界隈をぐるりっとドライブし、その後スタート地点に戻って練習開始。
 雪温は−2℃。とても2月下旬とは思えない高温である。
 例年であればスタート直後の小さな登りのあとちょっと下って再びきつい登りになるのだが今年はコースが若干変更になっており、そのままゆるゆると登って、昔のスタート地点付近から一気に下るコースとなっていた。
 コース途中で何度か雪温を計ったが、どこも−2℃。本番でもこの雪温だとワックス難しいな〜。
 
 練習後にホテルへ帰ってワキシング。
 とりあえず本番用にワキシングしなくてはっとワックスルームに行くが、、、誰もいない。。。延長コードもない。
 しょうがないのでフロントに言ってコードリールを借りることにした。
 一人でワキシングしていると、そのうち一組また一組とワキシングに来るグループが現れ始めた。それにしても例年ならばもうテーブルの順番待ちでごった返す時間なのに今年は人が少ない。
 ワキシングを済ませて部屋に帰ると、、、なんと昨年に引き続きTさんが相部屋。
 とりあえずビールでもって話になって、まずは受付してきますってホテルを出て基幹センターへ歩いているところへMさんとNさんが車で通りかかった。NさんがK&Kへ板のチューニングをお願いしていたらしく、それを受け取りに行くとのこと。
 私もそれに便乗してプロのワキシングを拝見し、ついでに某中島飛行機製の珍しい車を2台拝見させてもらった。
 初代アルシオーネのMT仕様・・・こんなのが現役で走ってるとは・・・・。
 GC8Cの555レプリカバージョン・・・ステッカーこそ貼られてないがこの色のセダンは世界中さがしても500台しか無いはず(よく見かける紺色ではなく、ソニックブルーでもWRブルーでもない、いわゆるGr.Aで使われていたスポーツブルー)。スピードラインのホイールが、、まっ眩しい。。
 その後、Mさんの家でくつろがせてもらい、エゾシカやら山わさびやら食べさせてもらいました。ウマ〜!・・・・おっとTさんを忘れていた。
 
 ホテルに帰ると初相部屋のIさんがくつろいでおり、なんと去年相部屋だったIさんと知り合いだとさ〜。世間は狭いねぇ。
 Tさんはレセプションへ参加されたようだ。
 夕食後、ワックスルームの様子を見に行くと、、誰もいない。。今年はどうなっとるんや?
 
 22日、いよいよ本番。5時に起床して朝バイキング食べて6時20分のバスでスタート地点へ行く。
 バスを降りて輸送トラックに荷物を預けてスタート地点へ。去年ここで滑走面に痛い傷を負ったので今年は歩いてスタート地点まで向かった。
 スタート地点には既に数百人の選手がスキーを置いて場所取りをしている。私の前には少なくとも300人以上いるようだ。
 スキーを置いてアップをしているとNさんが来た。そして帯広のIさんとSさんも現れた。
 
 7時30分、号砲とともにスタート。
 スキーは順調に滑った。ワックスは合っているようだ。
 途中倒れている選手がいたが、既に数名の選手が介抱にあたっており顔色も悪くないようだったのでそのまま素通りさせてもらった。
 そして2時間10分で丸瀬布に到着。これって5時間台ペースで走ってきたことになる。スッゲ〜速ぇ〜!
 しかし、そこから板が滑らなくなった。遠軽に着いたのは2時間後の11時40分、そこからゴールまで2時間半かかって、結局6時間42分25秒でゴール。今年も留萌のアイアンウーマンに負けてしまった。
 まあ私のレースは丸瀬布までで、そこからは食い倒れクロスカントリーツーリング大会ってことで勘弁してください。
「丸瀬布以降は各給食所で名物を2杯づつ食べるべし!」
 昔同じ宿に泊まっていたYさんから受けた命令を忠実に守っています。
 
 完走証ができるまでの間に都ホテルへ荷物を持っていき、着替えて完走証を受け取りに会場へ戻った。
 会場は例年に比べ人が少なく、土産物売り場も閑散としている。
 完走証を受け取ってみると、なんと名前に誤記が・・・・。「白い25時間」へのカウントダウンは確実に進んでいた。
 完走証を受け取ってチューリップの湯へ行きゆっくりと体を温めて、夕食は恒例となった鍋とジンギスカン!。もうこりゃあ都ホテル同窓会じゃの。
 日が暮れてからは吹雪となった。だが、「白い25時間」へのカウントダウンが既に最終段階に入っていることに私はまだ気付いていなかった。
 
 23日は朝から吹雪。
 道内車組の選手を送り出し、本州遠征組はバス停へ向かった。
 メンバーは埼玉のNさん、神奈川のNさん、そして私。
 遠軽行きのバスが来たが、バス停の前は雪が多量に吹き積もりバスがスタック。
しかしさすがプロの運転手で、ちょこっと前行ったり後ろ行ったりしてあっという間に脱出した。
 遠軽のバスターミナルに到着し、遠軽駅まで吹雪の中を歩き、窓口で指定席の空きを聞こうとしたところ・・・なんと網走から来る特急が運休になったとさ〜。
 高速バスは動いているらしいとのことで再び吹雪の中をバスターミナルへ戻り、乗車券を購入。
 次のバスを待っていると。。。なんと石北峠で交通事故があり通行止めとなったため旭川から遠軽に来るはずのバスが旭川へ引き返したとのこと。。。既に「白い25時間」は始まっていた。
 う〜ん、何とか夕方までに復旧してもらいたもんじゃ。
 ふと待合い椅子の方を観ると、、、Iさんじゃないですか〜!
とりあえず昼飯をってことで、NさんとNさんとIさんと私の4人で近くの地ビールの店を探しに行く。
 途中で地元の車がスタックして動けなくなっているのを救出し(関東人3名+広島人で救出するとはなんたる快挙!)、その先で地ビールの店を発見したが、、、定泣日・・涙。そこには「白い25時間」の中にいることに未だに気付いていない自分がいた。
 気を落としバスターミナルへ帰る途中、2tトラックさえもスタックしていた。
 バスターミナル食堂で昼食とりながら16時台普通又は19時台特急の運行再開に期待をかける。携帯電話のバッテリーがなくなりそうになったので食堂のおばちゃんにお願いして充電させてもらった。おばちゃんと話をしていると、なんとこの冬の道東の大雪は94才のおばあさんでさえ経験したことがない程の大雪だったらしい。ようは100年に一度あるかないかの大雪なのだ。これってラッキーな体験なのだろうか?
 まだ「白い25時間」に気付いていなかった。
 
 そしてついに、JRも高速バスも運転再開の願い叶わず遠軽泊が決定した。
 しかし時既に遅し。宿を探すが全て満室でまさに難民状態。
 一度は駅泊を覚悟したが、売店のおばちゃんのおかげでなんとか宿を確保できた。
 宿へ行き荷物を置いて、関東の3名と夕食。既に雪は止み月も星も出て穏やかな天気になった。
 ほいじゃが、靴びしょ濡れでキモワル〜。
 
 24日、早めに起床しTVにかじりつくが道東から道央へのJRは麻痺したままだった。
 それではバスにと思った矢先、丸瀬布〜白滝間で雪崩のため国道通行止め。高速バスの道も断たれた。
 遠軽駅でひたすらJRの運行再開をまった。
 その間、予約していた特典航空券を25日に振り替えてもらおうと試みたが(本来なら特典航空券は定められた期日を過ぎると予約変更できません。この度は雪害のため特別に当日の変更を受けてくれました。)26日まで空席はないとのこと。ただ、26日の予約であっても、25日に空席が有ればカウンターで変更出来ると言うことだった。ところが運が悪いことに変更手続きをお願いしている最中に携帯バッツリーがカラに。。。。売店のコンセント借りて充電しながら再び航空会社へ電話。なんとか変更手続きができた。売店のおばちゃんに感謝m(_ _)m。
 とりあえず帰路は確保できたのだが、一日でも早く帰ることはできないかと特典航空券を捨てる覚悟で直行便以外を検索してみるが、東京便も大阪便も26日まで全て×。
 そして待ちに待ったきたみが82分遅れで遠軽に到着した。
 
 ホームから西を観ると青い空にくっきりと巌望岩がそびえ立っている。
 昨日とはまったく打って変わって穏やかな晴天となった。
 昨日の吹雪のおかげで遠軽に25時間も滞在することが出来た。
 っと言っても何をするでもなく、ただ道央への交通が再開するのをひたすら待ち続けた25時間だったのだが・・・。
 
 きたみは増結されていたが、予想どうり満席で旭川まで立ちっぱなし。
 旭川で特急ライラックに乗り換え、道中もこまめに携帯で空席状況チェックする。大阪便がとれれば、今日中に広島へ帰ることができる。しかしとれなかった。。。
 札幌で下車し。本日の宿を確保すべく本屋へ直行!
 なんと税込み4K円の宿発見!。
 その後、何となく携帯で大阪便を検索していると、なんと大阪便に空席が、既に遅し。。。今から千歳へ行っても間に合わない。
 もう覚悟を決め、宿へチェックインして魚一丁本店で夕食。今回も3品でダウンしてしまった。。
 
 25日は、どうせ午後までヒマなのでチェックアウト後二条市場でニシンとハタハタと毛ガニを買い、駅に行って地下街で朝マックしながら本日の空席状況をチェック。直行便に結構空席があるようなので航空会社へ電話してみると意外な返答が帰ってきた。
「既に一度予約の変更をしているので変更はできません。新規購入してください」
特典航空券の処分の話をすると、
「マイルは半分返還できるので、特約予約の出発時間までに使用しないことを連絡し、速やかに未使用航空券を送り返してください」
とのことだった。
 しょうがないのでとりあえず航空券を新規購入・決済して帰路を確保した。
「痛い出費じゃな〜」っと思いながら朝マックを終えて数十分後、特約航空券のマイル払い戻しの件で航空会社に電話すると、何と今度は、
「特典航空券は既に片道使っているのでマイルの払い戻しは出来ません」
。。。。タラ〜汗!
 それならそうと昨日の段階で言ってくれれば千歳で東京便なり大阪便なりキャンセル待ちして昨日のうちに帰ったのに〜。っと思いながら、
「担当毎に違う事を言われてその都度それに応じて動いてきたのに何を信じたらいいの?」
って言うと(別にうだうだとごねた訳ではありません。。いや、ほんとに)、何やら責任者が電話に出てきて、
「混乱させてしまってまことに申し訳ございません。又七様の件は先日の雪害から続いている案件ですのでお客様にとって最善の方法で解決させていただきます。」
っと航空会社側から特典航空券の再度の予約変更および既に予約・決済してしまった新規購入航空券の全額払い戻しを提案してくれた。
 これはまさに私にとって最も財布の傷まない提案であり、即決!
 役所じゃったら「規則でこうなってます」っで一蹴されて終わりそうな案件なのだが、いや〜さすが民間大企業の対応はちがいますな。しかも電話を切ることなくその場で解決させてしまうスピードがすばらしい。(たぶん、26日の空席よりも25日の空席の方が多かったので、25日に1名廻せば26日にもう1名分の席が確保できるという打算も航空会社側にあったのだと思う。)
 
 その後は、もう例年と同じ行動パターンで、空港に行きラーメン食べて土産買って出発を待つのみ。
 いつもよりたった1日長かっただけなのだが、やたら長く感じたこの3日間であった。
 
 航空会社の対応が不幸中の幸いではあったが、やっぱ今年は本厄じゃね。
 
 
20040302:up
 
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