Windows2000/XPのコピー
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特別なコピーツールを使わなくても、WindowsXP/2000のHDDをコピーすることができる。領域の新規作成にはWindowsのディスク管理を用い、コピーには、Xcopyコマンドまたはエクスプローラ(ただし全てのファイルを可視にする条件で)を使用する。とはいうものの、稼働しているWindowsでは自分自身のコピーはできない。なぜなら、いくつかのシステムファイルは、Windows自身以外のプログラムによるアクセスからロックされているためである。したがって、稼働しているWindowsとは別のWindowsを起動してコピーをしなければならない。以下では、その方法について述べる。なおここだけの用語として、OS起動領域を次のように呼び分けるので、ご注意願いたい。
・稼働Windows領域 | =コピーしたいWindows領域 |
・作業用Windows領域 | =コピー作業のために用意するWindowsとその起動領域 |
・コピー先領域 | =稼働Windows領域のコピーを作るための領域 |
まず、稼働しているWindowsXPとは別の領域または別のハードディスクから、別のWindows(コピー対象領域のファイルシステムをサポートしていればWindowsの種類・バージョンは何でもよい)が起動できるよう、あらかじめインストールしておく必要がある。例えば現在CドライブでWindowsXPが起動し、Dドライブにデータなどがあり、残り4GB以上空いているとすると、その空いているところに領域を新規作成しておくということである。このままインストールするとドライブ名はE:などになってしまうが、それは気にしないでよい。
このハードディスクに空きがない場合は、別途ハードディスクを接続し、そこにセットアップしてもよい。この場合もドライブ名はC:以外となる。なお、マザーボードのBIOSで、ブートディスクの優先順位を変えれば、新しく作る作業用Windows領域をC:にすることはできる。ただしドライブレターの自己管理で混乱のないように。ひととおり仕事が終わったら起動優先順序を元に戻しておけばよい。
作業用Windowsでは、まずエクスプローラの設定で、全てのファイルを表示するようにしておかねばならない。 ・隠しファイルフォルダを表示する ・すべてのファイルを表示する ・システムファイルを表示する ・(念のため)拡張子は全て表示する これらを設定する。
以上で、コピー作業用Windowsの導入と設定は完了である。なお稼働WindowsでNTFSファイルシステムの場合、アクセス権の設定が必要になることがある。そのためには作業用Windowsの種類はWindows XP professional以上でなければならない。Homeではアクセス権の取得に困る場合がある。なお作業用Windowsは、アクティべーションをしなくてよい。アクティべーションなしでも、所定の日数は使用できる。セキュリティパッチも必要はないが、internetに接続しないほうがよい。
新しくコピーを作るハードディスクを接続する。接続インターフェイスとしては、Windowsが起動可能なSATA/IDE/SCSIでなければならない。USB上のハードディスクはWindowsの起動には使用できない。ただしこの段階でのコピー先としては、USB接続でも構わない。後に起動可能なSATA/IDEなどに接続が変更できれば問題はない。
現在稼働しているディスクインターフェイスの別チャネルにハードディスクを接続する場合はよいが、別途インターフェイスを増設する場合は、まずそれを行って、稼働Windowsにそのデバイスドライバを先にインストールしておくこと。先にドライバのインストールすることを怠ると、コピー後に起動できない。
コピー先に使うハードディスクの接続で新しいハードウェアとして認識された場合、再起動を要求されるが、素直に従って、作業用Windowsを再起動すること。これを怠ってはならない。
稼働Windows領域、作業Windows領域、コピー領域のハードディスクが全て接続されている状態で、作業Windows領域を起動する。作業Windows領域がC:以外の場合は、稼働Windows領域にマルチブートの状態でインストールされているはずである。起動の最初に、ブートマネージャが出るから、いつもの稼働Windowsではないほうを選択し、作業用Windowsを起動する。作業Winndows領域をC:としている場合は、そこはアクティブなブート優先順位トップの領域であり、とくに何も考えずに起動すればよい。
さてコピー先領域は、既存の領域を使うこともできるが、新規に作成してもよい。いずれにせよ、Windowsをブートさせるためのブートセクタがあるかどうかわからないので、既存の領域を流用する場合でも、空の状態からフォーマットすべきである。ただし、稼働Windowsと作業用Windowsのバージョンが一致していることが前提である。例えば、WindowsXPを作業領域とし、Windows2000を稼働領域およびコピー先領域とする場合は、WindowsXPでフォーマットすると、場合によりWindows2000が起動できるブートセクタではなくなる可能性がある。
コピー先領域のファイルシステムは、FAT32でもNTFSでもよいが、稼働Windowsのフォルダアクセス権や所有権はいったんクリアとなることに注意する必要がある。つまりコピー後には各ユーザのフォルダのアクセス禁止が解除になっているので、改めて設定しておかなければならない(ここでは説明しない)。
コピー先領域を作るか設定したら、いよいよコピーの実行である。稼働WindowsがFAT32の場合は、コマンドプロンプトから xcopy ドライブ1:¥ ドライブ2:¥ /c/d/e/f/h/i/k/y とタイプすればよい。ここでドライブ1は、今見えている稼働Windows領域のドライブレターであり、ドライブ2はコピー先領域のドライブレターである。ドライブレターだけでなくrootを示す¥も付けることに注意する。コピーに成功したら、シャットダウンしてよい。
いっぽう稼働WindowsのファイルシステムがNTFSの場合は、Microsoftのrobocopyを使うとよい。robocopyはコマンドオプションを適切につけて使用する限りおよそ万能なコピーツールである。これに対しエクスプローラでのコピーの場合は、全てのファイルを表示できるようにしておかないと失敗するし、ファイルのアクセス権や所有権を含めてコピーしたいときにはうまく行かないので、オススメしない。
ファイル単位でのコピーでなく、NTFSやFAT32の領域を丸ごとコピーすればよいというときは、NTFSCOPYというソフトウェアを使うのも一つの方法である。この方法ではアクセス権や所有権のことはなにも気にしなくてよい。DOSツールなので管理者権限などない者でも使える。またコピー先に領域をあらかじめ作っておく必要がないので簡単である。
まず元の稼働用ハードディスクはこの時点で必ず接続を取り外すこと。そうでないとドライブレター混乱となり、レジストリに、C:と新しく認識したドライブ名とが混在するようになり、Windowsが正常に動かなくなる。この点が問題となるので、最初に、稼働Windows領域と同一ハードディスク上にコピー先領域を作るのは困難であるということを述べたのである。
そして、作業用領域の入ったハードディスクも取り外しておく。稼働Windows領域と同じハードディスクであれば既に取り外されているから問題はない。とにかく、コピー先領域のあるハードディスクだけの接続にしておくことが肝要である。
次にコピー先領域の入ったディスクからWindowsを起動する。そこで正常に起動できればOKである。ディスク署名を初期化してあった、または新しく認識した場合は、「新しいハードウェアの認識」が発生し、再起動を要求されるので、それに従っておく。もし、このハードディスク自身以外のハードウェアを検出し、デバイスドライバの要求や再認識がなされるようであれば、途中の手順に誤りがあるということである。起動の途中、ログイン画面の手前でずっと停止していたり、ログインしようとしても落とされる場合は、やはり手順の誤りがあったというとになるが、この場合は署名の初期化だけで解決する可能性がある。
以上のとおりに実行してもコピー先が起動しないという場合、次のようなことが考えられる。
(1)は、領域作成のときに通常はIPLが作成されるはずである。しかし今までMicrosoft以外のOSで使っていたようなディスクや、GPTフォーマットで使っていたような場合に、IPLが作成されないままとなっていることがある。もう一度やり直すか、DOSが使える人はこれを試みるのもよい。
(2)はありがちでなことなので、もう一度作業用Windowsの起動からやりなおし、コピー先領域をアクティブにしておくこと。DOSが使える人はこれを試みるのもよい。
(3)これは「ディスク署名」の問題である。Windows2000/XPでは、一度でも接続して認識したハードディスクには署名がなされるが、その署名を稼働用Windowsが覚えてしまっていることで問題が生じる。稼働用Windowsにとって、自分の起動領域以外はC:以外のドライブ名が与えられる。このためそこに稼働用Windowsをコピーすると、C:以外で起動しようとして失敗する。この問題の解決には、ディスク署名を削除するのが簡単である。Microsoftのサイトに情報がある。これを試みるのもよい。
(4)Windows2000/XPでは、最初の起動ドライブのrootにあるBoot.iniの記述に従って起動プロセスが進行する。そこにはARC pathというものが書かれている。ARC pathの内容が、コピー前と後のハードディスク上で異なることになる場合、記述の修正が必要である。起動させる領域の順序が代わる場合は必ずBoot.iniを書き直さなければならない。
(0)や(5)は使用者の不注意によるものであるから再度確認すること。マザーボードによっては、今まで起動していたHDDを取り除くと、起動優先順位トップのHDDがなくなり、CD-ROMやFDからの起動のみとなってしまうものがある。
なお起動ドライブ以外も含めて完全にコピーしたい、あるいは領域の確保すら面倒という場合は、イメージ丸ごとコピーすることもお勧めする。商用ソフトウェアはいろいろある。DOSでフリーソフトを使いたい人は、ここにあるソフトを使うとよいだろう。