EXIDE**における容量帯とパラメータ設定
ここを読んでいる方は、EXIDEAE,EXIDE_AN,EXIDE486,EXIDEBX4,EXIDECBの各ROMプログラムの説明書のリンクから飛んできていると思います。これらに専用のSetEXIDE.EXE というパラメータ設定プログラムがありますが、仕様としてはほぼ共通です。SetEXIDEでは、容量帯ごとに異なるDISK BIOS CHSパラメータの設定をカスタマイズでき、ROMデータ作成時にさまざまに選択できます。またメモリスイッチやソフトウェアDIPスイッチにモードを記憶させるプログラムを併用して、一時的なモード変更も可能となっています。
パラメータモードは以下のように[1]〜[6]の6通り+[7]の1通りありますので、以下をお読みになって、ご自分の使いやすいモードをSetEXIDEで選んで下さい。
SETEXIDE**.EXE実行画面の例
モード名 容量ゾーンと【ヘッド数:セクタ数】 「|」は127.5GB
[1] ExIDE(M9)モード 【8:17】< 4351MB <【16:63】< 32255MB <【16:255】|
[2] SCSI 混在モード 【8:17】< 4351MB <【8:32】< 8GB <【8:128】< 32GB <【16:255】|
[3] SCSI 標準モード 【8:32】< 8GB <【8:128】< 32GB |頭打ち|
[4] SCSI メルコ 拡張 【8:32】< 8GB <【8:128】< 32GB <【15:128】< 61GB <【15:255】 |
[5] SCSI SSD 拡張 【8:32】< 8GB <【8:128】< 32GB <【16:128】< 64GB |頭打ち|
[6] SCSI 混在/SSD 【8:17】< 4351MB <【8:32】< 8GB <【8:128】< 32GB 【16:128】< 64GB <【16:255】|
[7] シリンダ数拡張 4.3GBリミットのない機種と完全互換だが使用可能容量はそのまま
表形式で再掲 モードと容量ゾーンにおけるヘッド数:セクタ数
モード\容量帯 | 4351MB 以下 |
8192MB 未満 |
32255MB 30240MB 未満 |
32GB 未満 |
61/64GB 未満 |
122/127GB 未満 |
[1] EXIDE(M9)モード | 8:17 | 16:63または15:63 | 16:255 | |||
[2] SCSI EXIDE混在モード | 8:17 | 8:32 | 8:128 | 16:255 | ||
[3] SCSI モード | 8:32 | 8:128 | ×頭打ち | × | ||
[4] SCSI メルコ拡張モード | 8:32 | 8:128 | 15:128 61GBまで |
15:255 122GBまで |
||
[5] SCSI SSD拡張モード | 8:32 | 8:32 | 8:128 | 16:128 64GBまで |
× | |
[6] SCSI 混在/SSDモード | 8:17 EXIDEと同じ |
8:32 | 8:128 | 16:128 64GBまで |
16:255 EXIDEと同じ |
|
[7] シリンダ数拡張モード | 8:17 EXIDEと同じ |
16:63または15:63 | ×頭打ち |
[1]の EXIDE(M9)モードは最も標準的な使い方で、8063MBまでは98本来の仕様と同じ、30239MBまたは32255MBまでも同じ、それ以上ではMistress9と同じ16ヘッド255セクタとなります。これはデフォルト値です。4.3GB以上32255未満のCompactFlashを使用する場合はこのモードを推奨します。
[3]の SCSI標準モードは、4351MB以上ではSCSI固定ディスクと完全に互換のあるモードで、8192MBを境にパラメータが変わりますが、32768MB未満までで頭打ちとなります。それ以上の容量があっても使えませんが、接続してあっても起動時ハングアップは起こさないようになっています。
[2]のSCSI混在モードは、たまに32GB以上のHDDを接続した場合にはその全容量が使え、いっぽうで4351MB未満のHDDもそのまま認識できるという利点を考慮して設けてあります。
[4]の「SCSIメルコ拡張」というのは、同社のIFC-USPなどで採用された、32GB以上も使えるようにしたモードと互換があります。しかしWindows NT/2000ではこのパラメータでは認識されなくなりますので、使い勝手がよいとも言えません。それであればヘッド数を16にしたほうが切りがよい、ということで[5]の「SCSI SSD拡張」というモードを設けてみましたが、32GB以上64GB未満でこのモードと互換性のあるSCSIボードもSATAボードも知られていませんので、完全独自仕様となります。
さらに、それを超えたらEXIDEモードと同じでいいのではということで、[6]の混在モードを設けてあります。同時に4.3GB未満もIDE互換です。少々ややこしいですが、この点ご留意ください。
[7]の「シリンダ数拡張」というモードは、4.3GBの上限がない機種に繋いだときと同じセクタ数・ヘッド数のパラメータでシリンダ数のみ拡張したもので、互換性は完全に保たれます。みかけの容量の限界は15ヘッドのとき30239MB、16ヘッドのとき32255MBとなります。4.3GBの上限がない機種ではそれぞれ7559,8063MBと少なく扱われますが、EXIDE拡張BIOSではそれを是正します。しかし使用可能な容量は変わりません。4.3GB上限のない機種も使用していて、とくに希望するモードがないかよくわからない場合は、このモードをデフォルトとしておくのがよいでしょう。CFの使用においてもこれにしておけば32GB以上のものを無難に使用できます。
PC-98のオンボードIDEはCFの特質を全く考慮した作りになっていません。このため「CFリセット」という事象を引き起こし、BIOSの示すヘッド数セクタ数が、デバイス本来のそれにリセットされます。このため記録されているデータに全くアクセスできなくなります。そこでEXIDE**では、上記[3][4][5]のモード以外では、容量4351MB未満のときにCFデバイス本来のヘッド数セクタ数をBIOSにも設定するようにしました(ネイティブモードとここでは称することにします)。これにより「CFリセット」で認識しなくなる問題は解消されます。いっぽう4.3GB未満のCFはこれまでのヘッド数8セクタ17から変わり、読めなくなります。この点はご承知置きください。
しかしそれではデータ移行の際に不便ですので、「システムセットアップメニュー」の項目を流用して随時選択できるようにしました。これには2通りがあります。
(ア)「入出力の設定」→「ディスク接続ユニットの使用」
(イ)ディップスイッチ2−2
基本的には(ア)を使ってください。「使用する」のとき、ネイティブモードになり、「使用しない」のときIDEハードディスク使用時互換の8:17のモードとなります。
(イ)のディップスイッチ2−2 の「ターミナルモード指定」が「ターミナルモード」のときネイティブのモード、それが「BASICモード」のとき、IDEハードディスク互換の8:17のモードとなるようにしています。なおこのDIP SW2-2の設定項目は本来ROM BASICの起動モードを変更するものですから、ROM BASICを使う場合は影響を受けます。
いずれもシステムセットアップメニューのデフォルト設定は、「IDEハードディスク使用時互換の8:17のモード」のほうです。新規にCFを導入するときは、4.3GB未満であればネイティブモードにしておいてください。しかし本アプリケーションを使うのであれば、4.3GB以上のCFを使うのがよいことは言うまでもありません。
各EXIDE**の2024年3月以降のバージョンからは、SanDisk製など一部のCFに対しては、ATAリセット時に諸パラメータが初期値に戻されることがなくなる設定を行うことにしました。これにより、いわゆるCFリセットが起こらなくなります。ATAリセットによるCHSパラメータの変動が起こらないので安心してIDEハードディスク使用時互換の8:17で使うことができます。この機能を装備するCFはかなり限られるようですので、なるべくならSandisk製のCFを使うことをお勧めします。
CFのうち産業用と銘打っているものはCFリセットを引き起こしにくいと考えられます。そのようなCFはリムーバブルでない(FIXED)属性が与えられているのが普通です。非リムーバブル属性であればCFA属性があってもHDD相当として扱うようにしています。ただしメルコのRUFシリーズはFIXED属性であってもCFリセットを起こすほかSMIT SCSIの併用でも問題を起こすことが知られているため、使用を避けてください。
EXIDE**のアプリケーションを入れたROMボードを装着している場合、まず画面右上に本アプリケーションを入れたROMのベースアドレス(セグメント)が表示されます。続いて「IDE HDD上限拡大とCHSパラメータ変更・・・・ 」と表示されます。
表示を保持しておきたい場合は、メモリチェック終了後くらいからSHIFTキーを押し続けていて下さい。放すとシステム起動は続行します。
一時的にパラメータモードを変更したいというときは次のようにします。
このアプリケーションの実行に入った瞬間にGRPHキーを押していると、キーボード操作でもモードを変更することができます。[F・1]〜[F・7]キーがモード1〜7と対応しますので、どれかを押してください。
パラメータモードは、 EXIDE486, EXIDE_AN, EXIDEAEの場合はそれらに付属のEXIDEMSW.EXEで設定することもできます。メモリスイッチに記憶されますので、メモリスイッチの2-5を「保持する」の設定にしておいてください。EXIDECB,EXIDE55XおよびEXIDEBX4の場合はEXIDESW3.EXEで設定することができます。
パラメータモードはメモリスイッチ(EXIDEMSWの場合)またはソフトウェアDIPスイッチ(EXIDESW3の場合)に記憶されます。バックアップ電池が消耗になったりソフトウェアディップスイッチが初期化されると、設定が初期化されてしまいますのでご注意ください。その際はROMデータ作成時のデフォルトモードとなります。
バックアップバッテリの消耗、スーパーリセットや[GRPH][SHIFT]押し起動で初期化すると、SetEXIDEで設定したデフォルトのモードになります。他のモードにして使用していた場合、設定が初期値に戻る場合があるということは心得ておいてください。余計なことはしたくないという人は、SetEXIDEで決定したデフォルトのモードでずっと使い続けるのがよいでしょう。