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           ホワイトデーの送り物


そのベッドの枕の脇にはいろいろ置いてある。
ぬいぐるみやらバレンタインのチョコレートやら手紙やら・・・・・。
ベッドは一人の男の子が寝ている。
違うのは・・・・・・・・・・・・
その男の子は深い眠りについていること。
その深い眠りはいつ目覚めるのか解らないこと。
そして、そのベッドは普通のベッドではなくて、病院にあるようなベッド。
傍らに置いてあるのは、よく目にする家具等ではなくて、体の状態をモニターする各種
機械。
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彼の名は「北条悟史」
雛見沢症候群のL5に感染し、その影響で昏睡状態にいる。
現在の状態は、と言うと、依然として昏睡状態にいるものの、脳波には回復の兆候が現れて
いる。しかし、完治のはまだほど遠い。
そんな彼の枕元に色んな物を置いているのは・・・・・・・。
「園崎詩音」
「彼女」は「彼」が好きなのだろう。度々ここを訪れ、いろいろ彼に贈り物を届ける。
今年のバレンタインデーにやってきてチョコレートを枕元に置いていった。
そして、傍らに座り、いろんなことを話しかけているようだ。
訳あって話の内容は聞けないが、話して掛けているときの彼女の顔はとても穏やかで、
あの「園崎家」の双子の片割れとは思えない。
しかし、「彼」は依然として眠りについたままだ・・・・・。
「彼女」は、きっと「彼」が深い眠りから覚め、以前の様に「彼女」の頭をなでてくれる
ことを信じているのだと思う。
再び「むぅ」と言ってくれることを。
だから足繁くこの診療所に通っている。
「彼」は「彼女」がしていることに気が付いているのだろうか。
気が付いているのならば、今の状況をどう思っているのだろう。
五体満足でない今の状況を・・・・。
お礼の言葉・・・どころか表情すら変えることのできないこの状況を・・・・・・・。
「彼」はこう思っている、そう思いたい。
「むぅ・・・・・・・・・・・・こんな体だから・・・ごめん。いつになるか・・・・・
わからないけど、きっと・・・・お返しはするから」

そして、悟史君の、今現在唯一の家族である妹の沙都子ちゃんも、その日が必ず来ること
を願っている・・・。
その日を迎えるために辛い検査も頑張って受けている。

そして、僕も頑張る。
君が目覚めるために。
約束する。
皆が幸せになるように。

今日はホワイトデーだったんだよね・・・・・・。
でもさ、僕はこう思うよ。
「君が目覚めた日が詩音さんにとってホワイトデーなんだってね」

                         昭和59年3月14日  
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「あぅあぅあぅ〜入江が何だかかっこよすぎなのですよ〜!!メイド・イン・ヘヴンとか
叫んでいた人と同一人物とは思えないですよ!!」
「・・・あははは〜、たまにはこういうのもいいんじゃない?「た・ま・に・は」
「うん、そうだね。だね。いつも変態さんじゃ監督もかわいそうだもん。」
「まあ、確かにな。こういった面があるのも意外性があって面白いんじゃないか?」
「み〜☆、入江がだんでぃーさんなのです。にぱ〜☆」
「それより、私達こんなことしていいのかな?・・・かな?やっぱりやめようよ・・・
こんな泥棒みたいなこと・・・」
そうです。皆さんご存知例の連中です。こいつらわ診療所のに置いてあった日記を
勝手に見てるんです。
流石部活メンバー・・・・・やることが違う・・・って、お前ら、レナの言う通りやって
ること、正しく泥棒みたいじゃん。

                                おしまいっ♪



 

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