多分同じ内容のSS書いた人いるんじゃないかなあ・・・・・・
現在製作中のオリジナル小説のプロットをちょっと拝借しちゃいました・・・・・・
(いいのか?)
※注意!!礼のネタバレも含みますので注意してください!!※
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〜陽光〜
暗闇・・・・・
一歩先も見えない。
窓の明かりも、外灯すら見えない。
外灯どころか景色すら・・・・。
何も見えない。
立っているのかどうかすらもわからない。
辺りを静寂が支配する。
風の音どころか雪の降る音まで聞こえない。
全くの無音。
・・・・・・・・
とりあえず、歩き出してみたものの堂々巡りをしていることに気が着き、立ち止まる。
「ここは・・・・・・どこ?」
彼女はあまりの景色の変わりように愕然としていた。
「ま・・・・まさか・・・・・・・・・・で、でも、あの時でさえも雛見沢にいたわ!
私!!これは一体どういうことなのよ!!?あの時・・・・沙都子と悪ふざけして
車に轢かれたときも元の世界に戻れた・・・。なのにこれはどういうことよ!!
せ・・・・せっかく6月19日も超えて、昭和58年も超えたのに・・・・・」
彼女は答えが出ないかもしれない問いを暗闇にぶつけてみる。もちろん答えどころか
音すらしない。
「ふっ・・・・・はは・・・・・はははははは・・・・・・・・・・」
気のない笑いをする。自然と目から一筋に涙が頬をつたう。そして、あることに気付く。
「そうだ!!ひょっとして羽入が近くにいるかもしれない・・・ねえ!!羽入いるんで
しょ!?返事してよ!!ねえ!!ねえってば!!!!」
返事も音も何も聞こえてこない・・・・。
彼女の背筋に戦慄が走った。
「あ、私、ひょっとすると、本当に・・・・・・・・・・・・・・・・」
そのころの入江診療所。一通の電話が入る
「じりりりりりり・・・がちゃ、はい!入江です!!え!?見つかった!?どこで?ええ、
は!?裏山ぁ!?一刻も早くこちらへつれてきてください!!おそらくこの気温でかなり
体温も下がっているはずです!
「監督・・・・」
魅音が入江を心配そうに見る。
「さきほど発見されたそうです。しかし、何で裏山になんて・・この吹雪いてる時に」
「わ・・・・私がいけないのですわ・・・・わ・・・わあああああん!!!」
沙都子が泣きじゃくりながら言った。
「さ・・・・沙都子ちゃん・・・・大丈夫だよ・・・心配ないよ・・・だから、ね?」
レナが慰めるように沙都子を軽く抱いてやる。
「本当に何でこのくそ寒いのに裏山なんて行ったんだ?。まあ、何はともかく見つかって
よかったよ」
圭一が言った。
そのとき、診療所のドアが勢いよく開くと。数人の男が診療所に入ってきた。みな消防団
のはっぴを着ている。背中には「雛見沢」と書かれている。
その中の一人が梨花を背負っている。意識は無いようだ。
「お待ちしてました!どうぞこちらへ!!」
入江が男達を奥の部屋へ案内する。
「まず、体温は、っと。え!?こ、これは・・・早く処置しないと・・・・!!」
入江が処置の準備をする。どうやらかなり体温が下がっているらしく、危険な状態の
ようだった。
処置後、奥の部屋から入江が出てくる。
「消防団の皆さんには大変感謝しております。ありがとうございました」
「で・・・・先生、梨花様の状態は・・・!?」
初老の男が聞いた。
「・・・・とにかく何とも言えない状態です。恐らくは、今晩がヤマでしょう」
入江が答える。
「ま、今日はここで解散って言うことで。みんな、ご苦労だった」
消防団の団長と思しき男がそう言うと、男達は帰っていった。皆口々によろしくお願い
しますと言いながら。
「今晩が・・・・・う・・・・・ひっく」
沙都子が泣きながら言った。いつもの元気はない。
「とにかく、今は梨花ちゃんが元気になるように、ね?一緒に祈ってあげよ?」
レナが慰めるように言った。
「ところでどうする?今晩。このままここに居るか?」
圭一がメンバーに言う。
「・・・・圭ちゃんとかレナは親が待ってるし・・・どうしよっか。あたしだって家に
戻らなきゃ・・・」
魅音が困ったような複雑な表情をする。
奥から入江が出てきた。
「梨花ちゃんや沙都子ちゃんは私が見ます。今晩はもう遅いから・・・・」
というと、3人は帰ろうとする。
「監督、今夜、梨花のそばについてもよろしいですか?」
沙都子が入江に尋ねる。
「ええ、もちろん。」
その会話を聞いていたレナがもう一度軽く沙都子を抱きしめる。
「大丈夫。だい・・・・じょうぶ・・・・だよ・・・・・だよ・・・・う・・・・。」
レナも泣いていた。
圭一がレナの肩に手を乗せる。「そうだ、大丈夫だ」って言っているかのようだった。
3人は入江によろしく頼むと、それぞれ家路につく。
吹雪はいつしか止んでいたが、雪は降り続いていた。舞い散る雪が窓の外から見える。
雪の降り積もる音が聞こえてきそうだった。今夜はかなり冷えるようだ。
入江診療所のとある部屋の中にはベッドと各種医療機器。
ベッドには梨花が横たわっていた。布団に電気毛布。首や頭には保温の為のパッド類が。
傍らの石油ストーブが時々音を出す。静寂が辺りを覆う。
その傍らには椅子があり、沙都子が梨花の左手を両手で握りながら座っていた。
「梨花、あなたと初めて会ったのはいつのことでしたから?あのときは・・・・・」
沙都子が梨花に話しかける。自分の声が梨花に届いてほしい。必死の問いかけだった。
梨花はいつしか座り込んでいた。何もない暗闇の一点をじっと見つめていた。
「どうして、私はこんなところに来てしまったんだろう・・・・そうだ、沙都子とつまら
ないことで喧嘩したんだっけ・・・・・そして・・・・思わず家を飛び出した・・・・
猛烈な吹雪の中に・・・・・・それで遭難したんだっけ・・・・ふっ、馬鹿な私・・
本当に懲りてないんだな・・・もう、元の世界には戻れないのかな・・・もう・・う・・・」
ひざを抱え、座り込んでいた梨花は、ひざを抱えていた両腕に顔をうずめ、嗚咽した。
その時、突然、青い光が目の前に現れた。それに気づいた梨花が思わず顔を上げる。
その青い光には、先ほどの部屋の中が移っている。ベッドに横たわる自分と、傍らに
座り、自分の手を握り締めながら必死に問いかける沙都子。梨花がふと気付くと、
どこからか声が聞こえる。
沙都子の声だ!!
「ねえ、梨花?聞こえてらっしやいます?・・・・・」
「ええ・・・・・聞こえてるわ・・・・・・・」
「あなたが私と始めてあったときのことを覚えていらっしゃいます?」
「ええ。覚えてるわ・・・あの時は・・・・う・・・・」
思わずまた泣いてしまった。そして・・・・
「やっぱりあきらめられない!!私の生きる場所はここじゃなくてあっち!!絶対戻って
やる!!必ず!何があっても!沙都子が待ってるあっちに!絶対戻ってやる!戻ってやる
う戻ってやる戻ってやる戻ってやる戻ってやる・・・・・戻ってやるうっ!!!!!!」
目を硬く瞑り、歯を食いしばりながら言った。心からの慟哭だった。
と、その時、その青い光が梨花の方に向かってきたと思ったその瞬間!。
硬く瞑った目を開けると・・・そこには見慣れた天井が。そこは紛れもなく入江診療所の
とある部屋だった。自分がベッドに寝かされていたのに気付く。左手に暖かい感触
沙都子の両手だった。沙都子は、というと、いつしか眠ったらしく、すーすー寝息を
立てていた。
「・・・・それは・・・ぶろっこりーで・・・緑が白なのですわ・・・・・・」
寝言を言っていたらしかった。
「沙都子・・・・・ごめんなさいです・・・・・」
梨花は泣きながらそうつぶやいた・・・・・。
それに沙都子が気付いたらしく、起き上がると。
「梨花・・・・・?・・・り・・・・・梨花ぁ・・・・・・・・・!」
沙都子が泣きながら梨花に抱きつく
「み〜、ちょっと苦しいです〜」
その声を聞いた入江が部屋に入ってきた。
「梨花ちゃん、大丈夫?特に体の調子の悪いところ、ない?」
「み〜☆、梨花はいつも元気いっぱいなのです〜。にぱ〜☆」
梨花がいっぱいの笑顔で答える。
「あ、とりあえず、手と足、見せて?」
入江が梨花の手足を診た。運び込まれた時に罹っていた軽い凍傷は大分良くなってきた
ようだ。
「これなら、もう大丈夫かな?」
入江が言った
「本当に・・・・・本当に良かったんでございますですのよ〜・・・・・ひっく」
沙都子が泣きながら言った。
「沙都子・・・・・・・・・」
梨花が神妙な顔で言った。
「?、どうしたんですの?」
「ごめんなさいです。本当に反省していますです。こんな梨花でも許してもらえますです
か?」
梨花が沙都子に申し訳なさそうに言った。
「も・・・・もちろんですわ。」
「もう今度からつまらないことで喧嘩しないです。約束しますです。」
そういうと、沙都子に小指を差し出す。
そして。
「ゆーびきーりげーんまんうーそつーいたらはーりせんぼんのーます・・・・・・」
「これで、仲直りなのですか?」
梨花の問いに
「そうですわ」
沙都子が涙を拭きながら言った。いつもの笑顔が戻った。
陽光が部屋内を包んでいた。今日はどうやら晴れるらしい。青空と雪・・・青と白の
コントラストが鮮やかに映えている。雪遊びには絶好の日だ。
「こんないい日はお外で雪遊びなのです〜☆」
「え〜?私、寒いのは苦手でしてよ〜!」
「雪合戦とか、雪だるまとか沢山作るのですよ〜☆」
その数日後
台所に立つ沙都子と羽入
「あら?醤油が切れてますわよ?」
「あうあう、これは買ってこなければならないのです」
テーブルで夕食のセッティングをしている梨花が
「み〜☆、梨花が買ってきてあげますですよ〜」
「今回は大丈夫ですの?」
「あうあうあう!、遭難しないように気をつけるのですよ」
沙都子と羽入が心配そうだ。
「み〜☆、大丈夫なのです。梨花が帰ってくるまでに支度を済ませておくのですよ」
と、言うと梨花は家を出ようとしたが、玄関で何かを思い出したかのように一度振り返ると
こう言った。
「羽入、ありがとうね」
羽入は、というと、きょとんとした顔で
「あうあう・・・梨花が何を言っているのか良く解りませんです」
「ふふ・・・ま、いいわ・・・・」
梨花はそういって玄関を出た。
(もう、あのようなヘマはもうしないわ)
夕闇迫る小雪の降る中、梨花は歩き出した。一歩一歩、自分の歩むべき道を確かめながら。
〜おしまい〜
戻ります?