〜沙都子先生のトラップ講座〜 はじまりはじまり〜
本編では、現場検証を終えた番犬から聞かれたり、トラップを仕掛けてほしいとか頼まれる
だけなんですけど、もし、講座を開いたらこうなるのかな〜って思い、書いてみました。
一部自分の中途半端な軍事知識やトラップに対する見識が散見されております。間違っている
場合はご指摘お願いします。
なお、途中、本編と異なる表記があるかもです。
※祭囃し編のネタバレの可能性があるので注意してください※
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「えっ!?君があのトラップを仕掛けたの!?」
「そうですけど・・・・・・?あなた、初対面の人に対してそのような口の聞き方はいけない
と思いますが?」
「あ・・・・失礼いたしました・・・・」
沙都子の口調を聞いた番犬隊員も何故か言葉が丁寧になる。
戦い終えて・・・日は暮れていないがすべてが終わった裏山。そこには番犬隊員が現場検証
を終え、集団で体育座りをしている。そこにはなぜか部活メンバーもいる。もちろん「あの」
沙都子も。
「で、お聞きしたいことがありますが・・・・・」
「はい。そこのあなた」
裏山が、トラップ教室のようになっている。
そんな姿を見て
「なあ、なにやってるんだ?あいつら。体育座りなんかして・・・・・?」
圭一がレナに尋ねる
「何かね、番犬の人たちが沙都子ちゃんのトラップを見て、とても感心したんだって。で、
教えてくれってうるさいんで、急遽トラップ教室を開くことになったみたい。あははは〜
なんだか沙都子ちゃん、先生みたい〜」
まあ、かいつまんで言うと、ブービートラップがいたるところになおかつ効果的に仕掛け
られたのを番犬隊員が見てえらく感動したらしく、沙都子に教授承りたい声があちこち
から出てきたのでやむなく講座を開くことになったそうだ。
ただ、今日は綿流しの祭りの日。トラップ先生はどちらかと言うとそちらのほうに意識が
いっちゃってるようであるが。
「やっぱりやめませんこと?。私、今日は忙しいんですのよ?」
本当は祭りに行きたくてしょうがないくせに。
「そこを何とか・・・・・・・・・・・・」
「しょうがないですわねえ。じゃあ早速始めましょう」
こうしてトラップ講座が始まった。
「まず始めに・・・・・・・・・」
人の心理のつかみ方から始まり、トラップの種類、効果的な仕掛け方等々・・・・・
授業が進んでいく。
そして
「それでは・・・・・・卒業試験ということで皆様方に実際に仕掛けてもらいましょう」
卒業試験。生徒をA、B二班に分け、それぞれ指定されたコースにトラップを仕掛けていく。
「では、はじめてください」
沙都子の号令に番犬隊員が裏山に入り、トラップを仕掛けていく。
しばらくして、番犬隊員が戻ってくる。
そこまでは特に普通だと思うのだが・・・・普通でないのはここから。だって部活メンバー
がそこにいるんだもの。(笑)
「なお、評価には・・・この人たちに協力してもらいます」
と、言うと傍らに立っていた部活メンバーを指差す。
「うぇ?」
魅音が「なに?藪から棒に」って言いたげな顔をして沙都子を見る。が、一瞬の間のあと
何か思いついたようで、顔がにやける。
「くっくっくっ・・・・・おじさんいいこと考えついた・・・・」
「魅ぃちゃん・・・・どうしたのかな・・・・・かな?」
レナが恐る恐る魅音の顔を見ながら言う。
「どうせ、ロクなこと考えてねえぜ?」
圭一は少し呆れ顔になる。
「あうあうあう・・・・魅音が・・・悪だくみなのです」
羽入は一体何を感じたのか。
「み〜・・・・、魅音が怖いのです」
顔が不安げになる梨花。
おもむろに沙都子が切り出した。
「あら、魅音さん?私が何を考えているのかどうやらお見通しって感じですわね?」
「だってあたりまえじゃ〜ん?伊達に「部長」やってないよ?」
そして、今回の部活の内容が発表されるっ!!
「沙都子のトラップ解除たいけ〜つ!!!!!!」
説明せねばなるまい!。今回は、トラップ先生の生徒が仕掛けたトラップをいくつ
なおかつどのくらい早く解除できるか!と言うものだ!。
裏山に設置された2つの同じ距離のコースにそれぞれ20個のトラップを仕掛け、
それを2組に分かれた部活メンバーが解除して回るのだ。しかも、それをいかに
早く解除できるかを競う!
タイムは各チームメンバーそれぞれに計測し、早いタイムを評価の対象にする。
トラップについては、解除したら得点とする。起動させてしまったら得点は無し。
万が一引っかかってしまい、行動不能になった場合はその時点でその人間は失格。
残りの人間が競技を続行する。なお、残りの人間も行動不能になった場合、その時点で
そのチームは失格。相手側の勝利となる。
両チームには解答用紙が渡され、トラップの位置が書き込めるようになっている。
もちろん、本当の場所は書かれていない。
あーゆーあんだすたん?
「やっぱりな・・・・・・」
圭一が言った。
「ねえ、沙都子ちゃん?。新作のトラップとか・・・なんてないよね?」
今までこれ以上になく心配そうな顔でレナが沙都子に尋ねる。
「もちろんですわよ?全滅になってしまったら私の楽しみがなくなりますからね」
と言って、なぜか舌打ちをする。
(レナさんって、やっぱり鋭いんですわね・・・・)
「ところで、参加メンバーはどうするんだ?トラップ先生はともかく羽入は・・・」
「まず、トラップ先生は外さなきゃね。それと羽入。まだ沙都子のトラップはまだ
どんなものかわからないみたいだから。」
「でも、さっき・・・トラップをいくつか、見たのです」
「ちっちっちっ・・・・甘いあま〜い、トラップ先生にはあれの何倍ものバリエーション
があるみたいだからね〜あれが全部とは言えないかもよ〜!?」
「そうだな〜、頭からバケツかぶって取り乱してぱんつ見せたひともい・・・・・・・・」
「・・・・・ぱらららららららららららっ!!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
あはははははははははははははははははははははははははははははははははははははは
はははははははははははははははははははははははははははは!!!!!!!!!!!
圭一くん!!!?、何のことかなっ!!!!?、かなっ!!!!!!?」
レナが近くにいた番犬隊員の64式小銃をひったくると、笑いながら思いっきり1マガジン分
圭一に向かって一斉射する。もちろんフルオートで。目が不気味に青く光る。笑い声と
銃声が裏山に木霊する。
「あうあうあう!、圭一が蜂の巣なのです」
「ちょ・・・ちょっと待て。お、俺が悪かった・・・・ところで、よく知ってるな、銃の
撃ち方なんて・・・・」
「富竹さんから教わった」
「う・・・・嘘だっ!」(これを一回でもいいからやってみたかった・・・・・)
「な〜んてね。適当にやってたら撃てちゃった」
「お前の頭の中には暴発って言葉が無いのかよ・・・」
圭一の立っていた後ろには大木があり、大木には圭一の立ち姿の外周をなぞるように銃痕が。
「あの〜、もうよろしいですこと?私時間がないんですのよ?」
(ところで、圭一・・・そこまでデリカシー無いとお前の命、いくつあっても足りないぞ・・(天の声))
「チームはくじ引きで決めましょう。ここに4本の紐があって、それぞれA、Bと書かれてます」
トラップ先生の手には4本の紐が握られている。
「それを引けばいいんだな?っと、お?Aだ」
「じゃあ、あたしも・・・っとBだね〜。な〜んだ、圭ちゃんとは敵同士か」
魅音がちょっと口を尖らせる。何故なんでしょうね?(笑)
「レナは・・・っとあ、Aだ〜、圭一くんと一緒だね?。一緒に頑張ろ?」
「み〜☆そうなると僕は魅音と同じチームです。ふぁいと、おー☆、なのです」
「見事にばらけましたわね。チーム分けはよろしいですこと?。では、早速始めます。
なお、制限時間はありませんが、今日は、綿流しの祭りの日。とっとと終わらせましょう」
とトラップ先生が言うと
「おい、魅音、これも部活だから罰ゲームもあるんだよな・・・・・」
「もちろん。今回の罰ゲームは!・・・・ばばーん!!!エンジェルモートの制服で綿流祭
六凶爆闘(間違っていたらごめんなさーい!)!!」
それも負けたほうのチーム全員!!」
普段の部活ならそんなに気にはならないのだが、今日は祭りだというので、方々から人々
が集まってくる。まさしく衆人環視の状態になる。そんな中あの服で闊歩するなんて・・・・
「はっ!!」
思い出したかのように圭一がレナを見ると・・・・・・そうです。そうなんです。
皆様のご想像通りなんです。
「・・・・み、みみみ魅ぃちゃんとか、けけけけけけけ圭一くんとか・・・・り、梨花ちゃん
が・・・みんなみんなあの服で・・・は、はう〜!!!!か、かかかかかかかかかかぁいい〜・・・お、おもももも・・・」
てか、なんで勝ったチームのメンバーが罰ゲームなんだ?もう、レナの頭の中はもうパラダイス
で、脳内麻薬がアドレナリンで外に大放出がだらだらのようです・・・大丈夫か?。
「あ、解答用紙を渡します。では、用意はいいですこと?よーい・・・・・・」
「ぱーん!!」
号令一下A、B各チームがスタートする。
Bチーム(魅音・梨花組)がスタートダッシュ軽やかに裏山に入っていく。対するAチーム
(圭一・レナ組)は・・・・・・
「・・・・・・・・・・・みみみみみみみみみんなエンジェルモートの〜」
駄目です。かぁいいモード発動中です。もうどうしようもありません。
「ほら!!!早く行くぞ!!!。俺ら負けちまうと本当にあのこっぱずかしい服を着る羽目になるんだぞ!?」
「はう〜、圭一くんがあの服で「いらっしゃいませ〜」・・お・・おも・・・おもももももお持ち帰りぃ〜!!!!」
「はぁ〜・・・だめだこりゃ}
圭一はレナの襟首をつかんで裏山に入っていく。
さて、トラップ先生が「ひぐらし」の本編で語っていたように、複数のトラップを効果的に組
み合わせると・・・みたいな事を言っていましたが、要するに敵が一つのトラップを発見し、
それに対して敵はどう対処しようとするのかその動きを予想しどうするのか、・・・・。敵の
一歩先を読め、なことを言ってましたね。
どうやら、生徒達はそれを実践しているようです。
「あ、梨花?ちょっと待った」
「み〜。どうしたんですか?」
魅音が梨花の足元を見る。どうやら紐が張られているようだ。
「これは・・・・紐を引っ掛けると、でっかい網に中釣りって寸法だね?」
事前に渡された解答用紙にトラップの位置と内容を書いていく。
「この紐をまたいでいけばOKなのです」
と、一歩先に進もうとした瞬間。魅音が
「梨花!!ちょっと待った!!」
梨花の動きが止まる。
「トラップをかわした安心感に付け入るって話だね?梨花?、足元をよーく見てみな?」
梨花がよ〜く足元を見ると。
「他のところと足元の色が何か違うです」
回りの色と違う箇所を少し掘ると。ダンボールが見えた。それを紐に気をつけながら取り除く
と・・・・
「落とし穴?・・・これは・・・・少々気合を入れないとやばいよ?」
魅音の顔が引き締まる。
「これもメモしてっと。」
二人は紐に注意しながら穴の周りを迂回する形で進む。穴をやり過ごしたあと
「穴を迂回しているとき、別のトラップが発動されたらやばかったかも・・・・」
魅音が思わずつぶやく。
「・・・・そうかもなのです・・・」
二人の背中に戦慄が走る。
一方。
「沙都子だと、この辺に・・・とかあたりを付けられるんだけどな。まったく別人が仕掛ける
となると話が別になるな」
「うん。そうだね。仕掛ける場所も内容も違ってくるしね。
「ただ、唯一の救いは仕掛けたトラップの内容はある程度把握できてるってことだな。」
「でも、番犬さんたちがアレンジしてきたら・・・どうしよう」
「・・・・・・んっ!?」
先を歩いていた圭一が左手でレナを静止する。
「どうしたのかな・・・・かな?」
圭一が片ひざでしゃがみ込み、足元を指差す。
「ここ、見てみな?」
「・・・・・ダンボール?」
「多分落とし穴かなんだろうな」
「じゃあ、これを避ければいいんだね?」
「そう・・・・だと思うんだけどな。ただ、仕掛けたのは別人とはいえ、教えたのは「あの」
沙都子なんだぜ?これだけで済むとは思えねえな」
「え・・・・じゃあ、ここには他にトラップがあるってこと?」
「ほら、いつだっけ?、富田くんたちが体育用具置き場に入ろうとしたとき、トラップ
があるって気が付いて・・・・」
「うん。覚えてる」
「窓から入ろうとしたとき、別のトラップが発動して・・・ボーンってあっただろ?」
「あったあった。」
「ああ。俺、思うんだ。ひょっとしたらこのダンボールの下の他に、トラップがあるかも
って」
「なるほどね」
「でも、このダンボールを引っ張ったときに・・・ってことも考えられるか」
圭一がダンボールの上の土とかを払う。そのとき、手に何が触れる感触が
「っ!!?」
「圭一くん、どうしたの?」
「トラップだ・・・・発動はしてないが・・・俺の行動が読まれてる・・・・?」
「・・・・!?、まさか・・・・!」
「レナ、とりあえず用紙に書いとけ」
圭一がダンボールを良く見る。特には仕掛けは無いようだ。ダンボールを地面に平行に
ゆっくり引っ張る。
「・・・・・・やっぱり・・・・」
そこには落とし穴がぽっかり開いていた。
「紐に気が付いて、ダンボールには何にも仕掛けが無いのを確認して、さあ、紐に注意して
先に進もうとしたときに落とし穴にはまる、そして落ちる瞬間に紐にも引っ掛け・・・・
ってことか」
「圭一くん・・・・・あれ・・・・・・」
レナが上を指差す。そこには紐にくくりつけられたどでかい袋その中には大量の土砂が。
袋は足元の袋につながっている。
「穴にはまって生き埋めか・・・・・これも用紙に書いとけ」
思わずお互いの顔を見合す。双方心なしか顔色が悪いようだ。
「は・・・・はは・・・・・・・」
二人とも気のない笑いをし、穴を避けるようにして先を急ぐ。
「おお〜!!」
トラップ教室は感嘆の渦だった。解除する度に歓声やどよめきが聞こえる。
「あ〜、おっしい!!」
「さすが百戦錬磨の部活メンバーですわ」
「あうあうあう・・・・圭一に魅音がいつになくかっこいいのです」
実は、各トラップの箇所やコースのあちこちに小型カメラが仕込まれててあって、それを
モニターしているのだ。
不正を防止するためでもある。
「あ、また一つ解除した」
「そうですわね、あそこではもう少し・・・・」
沙都子のアドバイスが入る。
やがて双方コース残り100mを切る・・・・
ゴールテープは番犬隊員が持っている。
見えたのは・・・・なんと・・・・・・・・・と、その時!!
「ずぼーん!!」
大音響とともにメンバーの姿が消えた!これには沙都子も驚きを隠せない。
最後の最後でまんまとはめられたのだ。両チームメンバー全員が!!
それを見た番犬隊員から歓声が上がる。ひゅーひゅー。
※某隊員へのインタビュー。
「多分、最後の最後でゴール前であせって走り出すかなと。そうなると回りのに対しての
注意力が散漫になるこの場所が、最後のトラップの設置場所だと思ったんですよ」
隊員の一人が誇らしげに語る。
「そ・・・・・・そっかあ・・・・・・・おじさん気がつかなかったなあ。どこにも最後
の1個が無かったから、おっかしいなあと思ったんだけどなあ・・・がくっ」
魅音が悔しそうに言った。
隣の穴では・・・・・
圭一とレナが顔を見合わせる。そして、
「あはははは・・・これじゃ引き分けだね、だねっ」
「そうだな・・・・」
二人は思わず笑い出した。
結局、この勝負は引き分けとなった。4人は隊員の手により穴から出される。
「それでは、今回の授業はこれでおしまいです。委員長、あいさつ」
「きりーつ、礼!、さよーならー」
号令とともに、番犬部隊と部活メンバーは分かれた。隊員はヘリで裏山を後にする。
それを見て、部活メンバーも裏山を降りる。
「終わったな」
「うん」
「そういえば、最後の挨拶って知恵先生みたいだった〜」
「ははははは!、レナもそう思ったか!!」
圭一とレナが互いに顔を見合わせながら話していると。
「ぶーぶー、何ー!?。おじさん一人仲間はずれなわけー?」
魅音が口を尖らせながら言う。
「そういえば今日は綿流しの祭り、急がないとだめなのですわ」
「そうなのです〜」
「あ、やば、そうだった!!えっと集合は・・・・・・・・・!!」
部活メンバーはそれぞれの家に向かった。
戦い済んで日が暮れて、降っていた雨もやみ、空には見事な虹がかかり
ひぐらしの声が木霊する。肌に当たるそよ風も心地よい。
いつしか陽は落ち、月が昇る。
悪夢が終わった雛魅沢の地で、彼らの笑い声が聞こえる。
「もうこれ以上、彼らの笑い声を止める何事も起きませんよう」
〜沙都子先生のトラップ講座〜 おしまい。
戻ります?