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| 『真実 新聞が警察に跪いた日』を読んで | |||||
| 高田昌幸 著 <柏書房> | |||||
| 昨年末に刊行された『調査報道の戦後史 1945-2025』<旬報社>の記事を観て思い出し、積ん読から取り出した十四年前の著作を読んだ。十二年前に観た『殺されたスチュワーデス 白か黒か』['59]の上映会で当時、高知新聞にいた著者の講演を聴く機会があって、なかなか面白かったことから入手しながら、話を少し聴いただけでかまけていたものだ。かなり詳細に綴られていて興味深く、また、読み物としても面白かった。 本書に「二か月前に青森市で会った高知新聞の幹部たちの、あの熱っぽい話を思い出していた。 全国では知られていないかもしれないが、彼らは捜査費不正の報道を続けている。北海道新聞もそれに続こう。しかも、高知県警はまだ裏金づくりを認めていない。最初に認めさせるのはおれたちだ。だれも成功していないことをおれたちが最初にやろう。」(P87 裏金報道 札幌、二〇〇四年十二月)と記されているように、当地でも熱心に展開されていた事案だった。新聞社だけではなく、全国市民オンブズマンでも全国一斉請求といった活動を展開していた時分のことだ。 映画『日本で一番悪い奴ら』['16]の元ネタになった「銃器捜査のエースと言われた道警の元警部、稲葉圭昭氏」(P95 同)の話も、組織的な裏金作りを認めた「北海道警察の釧路方面本部長まで上り詰めた元大幹部」(P207 法定 札幌、二〇〇八年九月)の原田宏二氏の話も出てくる。 高田氏が二〇〇五年十月十四日に、国際基督教大学での講演で語ったという「……新聞は権力と親しくなりすぎました。そしてそのことを市民はとっくに見抜いている。このまま権力と二人三脚で歩んでいくと、いよいよ新聞は断末魔の世界に入っていくでしょう。」(P136 労働組合対新聞社 札幌、二〇〇五年十一月)との言葉どおりになってきている気がする。もっとも新聞以上にテレビのほうの劣化が激しいようには思うけれども。 本年二月の記事によれば、現在、調査報道集団「フロントラインプレス」の代表を務めつつ、BPOの放送倫理検証委員会の委員長代行や東京都市大学メディア情報学部教授を担っているようで、「ジャーナリズムには希望があることを次の世代に伝えたい」と述べていたそうだ。本書の元になった二十余年前の警察裏金事件当時や本書を刊行した十四年前当時よりも遥かに状況が悪化しているように感じられるなか、どこに希望を見出しているのだろう。 他社に比べて自由であったという朝日新聞社が社員・元社員の書籍出版を認めずに争われる事例(1,2,3)が繰返し報じられるようになったのは三、四年ほど前のことだ。他方で「Tansa」などの調査報道に特化したジャーナリズム組織も「フロントラインプレス」のみならず誕生してはいる。だが、記事には「最近、組織内で苦悩する記者の相談をよく受ける」とあったことが、まさしく状況の悪化を示しているような気がした。 | |||||
| by ヤマ '26. 3.30. 柏書房<単行本> | |||||
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