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みだれ髪  


詩: 与謝野晶子 (Yosano Akiko,1878-1942) 日本

曲: 平井康三郎 (Hirai Kozaburo,1910-2002) 日本 日本語


1 海こひし


海こひし潮の遠鳴りかぞへては
  少女となりし父母の家


2 やは肌の


やは肌のあつき血潮に触れも見で
  さびしからずや道を説く君


3 乱れ心地


乱れ心地迷ひ心地ぞしきりなる
  わかき二十才の春のひととき


4 細きわが


細きわがうなじに余るみ手のべて
  支えたまへな夜明くることを


5 春はただ


春はただ盃にこそ注ぐべけれ
  わが黄金の盃にこそ



与謝野晶子の大胆な愛の描写が発表当時にも評判になったという歌集「みだれ髪《、平井はその中から代表的ともいえる五首を選んで曲をつけています。彼らしいゆったりとした日本情緒が美しい佳曲ですが、それだけに第2・4曲のエロスはちょっと減退した健全な歌になってしまったのが残念ではあります。詩人の有吊さと音楽の素晴らしさから今でもよく取り上げられるようで、Youtubeにもたくさんの歌唱がアップされており聴くには困りませんでした。

( 2018.01.24 藤井宏行 )