Seis canciones |
6つの歌 |
1 La zagala alegre (Pablo de Jérica)
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1 陽気な小娘 (ヘリカ)
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Su vieja madre reñia Cuando pasaba las horas Alegres,entretenidas; Y ella,su amor disculpando, Con elocuencia sencilla, Cantando al son del pandero, Así mil veces decía: Ahora que soy niña,madre, Ahora que soy niña, Déjeme gozar ahora, Sin que así me riña. ¿Qué mal nos hace Salicio Si cuando pasa me mira, Y me tira de la saya O en el brazo me pellizca? No piense,madre,que busca Mi deshonra; no lo diga: Mi gusto sólo,y su gusto, Queriéndome así codicia. Ahora que soy niña,madre,etc. Cuando casada me vea,hecha mujer de familia, Me sobrarán mil cuidados, Me faltará mi alegría. Por eso quisiera,madre, Pasar alegres los días Que me restan de soltera En bailes,juegos y risas. Ahora que soy niña,madre,etc. |
年老いた母さんが叱ってた いつも過ごしてるものだから 陽気に 楽しそうに すると彼女は 恋の言い訳を 率直な弁舌で タンバリン鳴らし歌ったのさ こんな風に言ったのさ 千回も 今 あたしはまだ小娘よ 母さん 今 あたしはまだ小娘よ 今は遊ばせといてちょうだい あたしと口ゲンカなんかしないでさあ 何がいけないの あのサリシオが 通りすがりにあたしを見たり あたしのスカートを引っ張ったり あたしの腕をつねったりするのが? 思わないで 母さん それが あたしの恥だなんて 言わないでよ あたしも満足だし カレも満足なの そうしたがるのは あたしを好きだから 今 あたしはまだ小娘よ 母さん... あたしが結婚して 家族ができちゃったら 悩みごとが何千も増えて 楽しみなんかなくなっちゃうのよ だから 今のうちは 母さん 幸せな日を過ごしたいの あたしは少女のままで ダンスしたり ふざけたり わらったりね 今 あたしはまだ小娘よ 母さん... |
2 Madre,unos ojuelos vi (Lope Felix de Vega Carpio)
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2 母さん 俺はかわいい瞳を見ちまった (ベガ,ロペ・デ)
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Verdes,alegres y bellos. ¡Ay,que me muero por ellos, Y ellos se burlan de mí! Las dos niñas de sus cielos Han hecho tanta mudanza, Que la calor de esperanza Se me ha convertido en celos. Yo pienso,madre,que vi Mi vida y mi muerte en ellos ¡Ay,que me muero por ellos, Y ellos se burlan de mí! ¡Quién pensara que el color De tal suerte me engañara! Pero ¿quién no lo pensara, Como no tuviera amor? Madre,en ellos me perdí, Y es fuerza buscarme en ellos. ¡Ay,que me muero por ellos, Y ellos se burlan de mí! |
緑色の 明るくてキレイな瞳を ああ 俺はそのせいで死にそうだ その瞳が俺を弄ぶんだ! その天上のふたつの瞳は とっても移り気なもんだから あの希望の緑色が 俺には嫉妬の色になっちまった 思えるんだ 母さん 俺は見ちまったと 俺の生と死をその瞳の中に ああ 俺はそのせいで死にそうだ その瞳が俺を弄ぶんだ! 誰が思うだろう たかが色が こんなにも俺を惑わすだなんて! だけど 誰にも分からないだろう 恋をしたことがなければ? 母さん 俺はあの瞳の中に吸い込まれちまった だから俺はあの中で見つかるかもしれない ああ 俺はそのせいで死にそうだ その瞳が俺を弄ぶんだ! |
3 Mañanita de San Juan (Unknown)
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3 サン・ファンの祭の朝 (不詳)
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mañanita de primor, cuando damas y galanes van a oir misa mayor, allá va la mi señora, entre todas la mejor; viste saya sobre saya, mantellín de tornasol, camisa con oro y perlas, bordada en el cabezón; en la su boca muy linda lleva un poco de dulzor; en la su cara tan blanca un poquito de arrebol y en los sus ojuelos garzos lleva un poco de alcohol; así entraba por la iglesia relumbrando como el sol. Las damas mueren de envidia y los galanes de amor; el que cantaba en el coro en el credo se perdió; el abad que dice misa ha trocado la lición, monacillos que Le ayudan no aciertan responder,non por decir amén,amén, decian amor,amor. |
素晴らしい朝 善男善女たちが 大きなミサを聞きに行く そこに行くんだ 俺のセニョーラも すべての女の中で一番の美人も スカートの上にスカートを着け 瑠璃色のスカーフを巻いて 金と真珠のブラウスに 裾には刺繍の飾り とてもかわいいその口には ほんのりと甘さを漂わせ その細くて白い顔を ほんの少し輝かせ そしてその小さな青い瞳を ほんの少し潤ませて 教会の中へと入って行くんだ 太陽のように輝きながら 女どもは嫉妬に狂い 男どもは愛にやられる 聖歌隊で歌ってた奴も クレドの歌詞を忘れちまったし ミサを唱える司教さまも 別の文句に言い間違う始末さ 司教さまを手伝う侍童たちも うまく答えが言えなくなって アーメン、アーメンと言う代わりに 言うのさ アモール アモールと |
4 Nadie puede ser dichoso (Garcilaso de la Vega)
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4 誰も幸せにはなれまい (ベーガ,デ・ラ)
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Señora,ni desdichado, Sino que os haya mirado. Porque la gloria de veros En ese punto se quita Que se piensa mereceros. Así que,sin conoceros, Nadie puede ser dichoso, Señora,ni desdichado, Sino que os haya mirado. |
セニョーラ だが不幸せにも あなたの姿を見ないうちは なぜなら あなたを見られた栄光は 瞬く間に消えてしまうからだ 自分がそれに値するか考えてしまい だから、あなたを知らなくては 誰も幸せになることはできまい セニョーラ だが不幸せにも あなたの姿を見ないうちは |
5 Cantarcillo (Lope Felix de Vega Carpio)
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5 小唄 (ベガ,ロペ・デ)
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ángeles santos, que se duerme mi niño, tened los ramos. Palmas de Belén que mueven airados los furiosos vientos que suenan tanto: no le hagáis ruido, corred más paso, que se duerme mi niño, tened los ramos. El niño divino, que está cansado de llorar en la tierra por su descanso, sosegar quiere un poco del tierno llanto. Que se duerme mi niño, tened los ramos. Rigurosos yelos le están cercando; ya veis que no tengo con qué guardarlo. Ángeles divinos que váis volando, que se duerme mi niño, tened los ramos. |
聖なる天使さんたち 眠るのです 私の子が 枝を静めて下さい ベツレヘムのシュロの木よ 怒ったように揺れているけれど 激しい風に 響きを立てて 音を立てないでくださいね 穏やかに動いて 眠るのです 私の子が 枝を静めて下さい 聖なる御子は 疲れているのです 嘆くことに この地上で 安らぐために 静めたいと思っているのです ほんの少し 穏やかな涙を 眠るのです 私の子が 枝を静めて下さい 厳しい霜が 彼を取り囲むのに ご覧ください 私は何も持っていないのです 彼を包むものを 天国の天使たちよ あたりを飛んでいる 眠るのです 私の子が 枝を静めて下さい |
6 Después que te conocí (Francisco Gómez de Quevedo y Santibáñez Villegas)
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6 お前に出会ってからは (ケベード)
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todas las cosas me sobran: el sol para tener día, abril para tener rosas. Por mi bien pueden tomar otro oficio las auroras, que yo conozco una luz que sabe amanecer sombras. Bien puede buscar la noche quien sus estrellas conozca, que para mi astrología ya son oscuras y pocas. Ya no importunan mis ruegos a los cielos por la gloria, que mi bienaventuranza tienes jornada más corta. Bien puede la margarita guardar sus perlas en conchas, que Búzano de una Risa las pesco yo en una boca. |
すべてのものが私には余計だ 太陽が一日を維持することも 四月がバラを咲かせることも 私にはどうでも良いことだ 夜明けが別のことをしようとも 私は一筋の光を知っているからだ 夜明けを影に知らせることのできる 夜を探し求めるが良い 星たちのことを知りたい者は 私の占星術にとっては 彼らは暗く小さいもの もはや悩ませることはない 私の請願が 天上を 栄光を求めるために 私の至福は もっと身近に得られるのだから ちょうどムール貝が その真珠を貝殻の中に保っているように ほほ笑みを追い求めるのならば 釣り上げられよう あの口の中から |
スペインはカタルーニャの作曲家トルドラの歌曲の代表作と言ってもよいでしょうか。テレサ・ベルガンサが好んで取り上げていて、Clavesレーベルには6曲全部の録音があります。他にもローレンガーやロス・アンヘレスといったスペインを代表する歌手たちがこの中からいくつか取り上げて録音しています。
トルドラのドビュッシーを思わせるような繊細な響きにお国の情緒を乗せて多彩に描き出すのですから、とんでもなく美しい歌曲集が出来上がりました。「情熱の国」というコピーからは程遠い音楽ですが、この精妙な美しさは素晴らしいです。
詩はすべて16〜17世紀に活躍したスペインの詩人たちの作品から。メロディはしかし作曲者オリジナルのもののようです。この中で特筆すべきは、ローペ・デ・ヴェーガの詩になる2、5曲の詩はハイゼやガイベルによって独訳され、特にこの5曲目はブラームスやヴォルフの傑作の詩として用いられていることです。
ここでのトルドラの原詩につけたものも曲の素晴らしさでは決して遜色はありません。ぜひ聴き比べてみて頂ければと思います。
聖なる子守歌(1882) (ヨハネス・ブラームス)
聖歌曲第4番『この棕櫚の樹々のあたりに浮かぶあなたがた』 (フーゴー・ヴォルフ)
( 2015.12.27 藤井宏行 )