Le Dauphin Op.17a-19 Le Bestiaire |
いるか 動物詩集(あるいはオルフェの行列) |
Dauphins, vous jouez dans la mer, Mais le flot est toujours amer. Parfois, ma joie eclate-t-elle? La vie est encore cruelle. |
いるかよ、海であそんでいる でも波はいつも苦いぞ 時には私も喜びにあふれるが 生きることは実は残酷だ |
この詩は、プーランクの付けた曲が有名で、あの絶妙なメロディは一度聴いたら忘れがたい(詩のシニカルさにぴったり!)と思うのですが、今回は趣向を変えてデュレーの曲を取り上げました。デュレーって誰や?という方も多いかと思いますが、彼はかのフランス新進作曲家の団体として詩人のコクトーが集めた6人組のひとり(他にはオーリック、タイユフェール、オネゲル、ミヨー、プーランク)です。
今や完全に忘れられた感もある人ですけれども、面白い経歴として左翼政治活動にハマッていた時期があり、毛沢東やホーチーミンの詩に曲を付けたりしていたのだそうです(ちょっと聴いてみたい気もする)。
まあ、この曲はそんな世界とは全く無関係にシュールな哲学的世界が展開しています。明るい曲想の中にほろ苦さを表現するプーランクのと比べると、デュレーの曲はもっとストレートに生きることの厳しさをしみじみと歌います。フルートの独奏伴奏が付いていて、これはこれで味があるのではないかと私は思いますが。
デュレーの動物詩集のセールスポイントは、伴奏にいろいろな楽器を組み合わせて多彩な表現をしているということと、プーランクのでは6編しか取り上げていないのに対し、26編ものたくさんの詩を取り上げていることが挙げられます。結果として動物詩集の中から「毛虫」とか「くらげ」とか、はたまた「ハエ」とか「タコ」など、アポリネールの異色の作品も歌曲の世界に進出することになりました。
カナダのケベック州(フランス語圏)のレーベルSNEに、メゾソプラノのレムラン(Lemelin)の入れたのが私の知る唯一の録音です。
アポリネールの詩の不思議な世界に浸りたいという向きには、この曲集もぜひ探求する価値はあるかと思います。残念ながら歌詞が収録されていませんので、これは別のソースから探してみる必要がありますけれども...
( 1999.08.06 藤井宏行 )