歌はどうして作る |
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歌はどうして作る。 じつと観、 じつと愛し、 じつと抱きしめて作る。 何を。 「真実」を。 「真実」は何処に在る。 最も近くに在る。 いつも自分と一所に、 この目の観る下、 この心の愛する前、 わが両手の中に。 「真実」は 美しい人魚、 跳ね且つ踊る、 ぴちぴちと踊る。 わが両手の中で、 わが感激の涙に濡れながら。 疑ふ人は来て見よ、 わが両手の中の人魚は 自然の海を出たまま、 一つ一つの鱗が 大理石の純白のうへに 薔薇の花の反射を持つてゐる。 |
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与謝野晶子の詩に林光が曲をつけたのは割と晩年になってからが多いのでこれもそうだとは思うのですが作曲年は調べ切りませんでした。与謝野の詩の中でも現代作曲家に人気が高く、この林作品の他にも多くの人によってメロディがつけられています。
( 2017.07.02 藤井宏行 )