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Desolation    
  Songs from the Chinese Poets
寂寞  
     中国の詩人からの歌

詩: クランマー−ビング (Launcelot Alfred Cranmer-Byng,1872-1945) イギリス
       原詩:高適(c702-765)

曲: バントック (Granville Ransome Bantock,1868-1946) イギリス   歌詞言語: 英語


There was a King of Liang -- a king of wondrous might --
Who kept an open palace,where music charmed the night --

Since he was Lord of Liang a thousand years have flown,
And of the towers he builded yon ruin stands alone.

There reigns a heavy silence; gaunt weeds through windows pry,
And down the streets of Liang old echoes,wailing,die.
昔ひとりの梁王がいた――絶大な権力を持つ王が――
王宮を抱えていた そこでは音楽が夜通し魅力であった

彼が梁の君主であった時から千年が過ぎ去り
彼の建てた幾多の塔のうち ただひとつだけが廃墟として残っている

そこでは重たい沈黙が支配し 枯草が窓から覗いている
そして梁の通りに沿って古いこだまが 嘆き 消えて行くのだ


バントックには1909年に出版された中国古典詩の英訳本からつけた歌曲がいくつもあります。英訳の著作権も切れているようですし、原詩が見つかったものはぼちぼち取り上げて参りたいと思います。この原詩は盛唐の詩人・高適:〔こうせき〕のもの。タイトルは「宋中」です。
漢字をただ見ていてもだいたい雰囲気はつかめるでしょうか

梁王昔全盛,
賓客復多才。
悠悠一千年,
陳迹惟高臺。
寂寞向秋草,
悲風千里來。

バントックのこの曲には往年の名テノール、マコーマックの録音があります。東洋風のピアノ伴奏が重厚さを醸し出しつつ、なお十分オリエンタルになり切れていないところがなんとも奇妙な作品でした。

( 2016.07.19 藤井宏行 )


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