子供の大工 子供の歌 |
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夏が来た、夏が、 すずしい夏が。 杉の板、小板、 すうすと削ろ。 芥子が咲いた、芥子が、 白い白い芥子が。 杉の板、小板、 すうすと削ろ。 蝶蝶も飛べよ。 かんなくづは軽い。 杉の板、小板、 すうすと削ろ。 わたしは大工、 鉢巻しめて、 杉の板、小板、 すうすと削ろ。 造ろよ、造ろ、 子どもの村を。 杉の板、小板、 すうすと削ろ。 夏が来た、夏が、 芥子が咲いた、芥子が。 杉の板、小板、 すうすと削ろ。 |
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ここで「子供の歌」としてまとめた5曲は1925年の1月に一気に作曲され、その翌年にひとまとまりの歌曲集として楽譜が刊行されました。実は「子供の歌 第2集」という続編も計画されていて、有名な「からたちの花」もそこに収録される予定でこの曲たちとほとんど同時期に書かれたのだとか。それにしてはこの「からたちの花」、前奏もなくいきなり始まるシンプルな作りのこの歌曲集の他の歌と一線を画した大掛かりな歌曲になっておりますが... 詩はすべて白秋の童謡詩集「子供の村」から取られております。
第1曲目は軍隊ラッパを思わせるシンプルで軽快なメロディの曲です。「すずしい夏」と言う感覚がさずが白秋ですね。でもあんまり童心の歌ではないような感じもします。
( 2015.10.11 藤井宏行 )