綺麗な綺麗なちび鼠 芥子粒夫人(ポストマニ) |
|
「綺麗な綺麗なちび鼠、 おまへにお話さしてあぎよ。」 魔法つかひは呪文をとなへ、 さあさあお食べよ、米の粒。 魔法つかひとちび鼠、 お話しいしい暮らしてた。 ガンヂス河の堤の上の、 棕梠葉のお小屋のむしろ小屋。 それもしばらくちび鼠、 悲しくなつたで、ちゆうちゆうちゆう、 「変へて下され、鼠にや飽いた。」 「なにになりたい。」「なににでも。」 「猫にしてやろ。」にやんにやんにやん、 猫になります、ちび鼠。 「変へて下され、猫にも飽いた。」 「なにになりたい。」「なににでも。」 「犬にしてやろ。」わんわんわん、 犬になります、三毛猫が。 「変へて下され、犬にも飽いた。」 「なにになりたい。」「なににでも。」 「猿にしてやろ。」きやつきやつきやつ、 猿になります、むく犬が。 「変へて下され、猿にも飽いた。」 「なにになりたい。」「なににでも。」 「野猪(のじし)にしてやろ。」ふうふうふう、 猿が野猪に変ります。 「変へて下され、美しき人に、 ああ、ああ、野猪はいやらしい。」 そこで一と振り、魔法杖、 見れば綺麗な娘の子。 真赤な練絹、ふさふさ黒髪、 金の腕環や髪かざり。 綺麗な綺麗なその娘、 芥子粒夫人(ポストマニ)と名がついた、 今度は楽しいお邸(やしき)ずまひ、 棕梠の葉お小屋はふり棄てる。 |
|
曲集を纏めたページに全体のコメントを記載しています。
芥子粒夫人(ポストマニ)
( 2015.10.10 藤井宏行 )