むかし噺 |
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山へとゆくのはお爺さん、 川へと下るはお婆さん。 山では柴刈る鉈の音、 川では桃呼ぶ小手まねき。 むかしのむかしはなつかしい、 いつでも青空、日和鳥。 ねんねのお里はなつかしい、 いつでも夕焼、藪雀。 山へとゆくのはお爺さん、 川へと下るはお婆さん。 |
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白秋の童謡詩集「花咲爺さん」から。最初のセクション「昔のうた」の一番最初の詩がこれです。特にはっきり言及はしておりませんが「桃太郎」のお話が下敷になっていますね。このセクション、他にもおとぎ話を題材とした詩がたくさんあってなかなか楽しいのですが童謡となった有名なものは残念ながらないようです。この歌も今や忘れられてしまっているでしょうか。ダイナミックなメロディラインはなかなか楽しいのですが、これぞという魅力にどこか欠けているようにも思えます。
( 2015.10.05 藤井宏行 )