Phänomen Op.61-3 Vier Duette |
現象 4つのデュエット |
Wenn zu der Regenwand Phöbus sich gattet, Gleich steht ein Bogenrand Farbig beschattet. Im Nebel gleichen Kreis Seh ich gezogen; Zwar ist der Bogen weiß, Doch Himmelsbogen. So sollst du,muntrer Greis, Dich nicht betrüben: Sind gleich die Haare weiß, Doch wirst du lieben. |
雨の壁と フェブスとがひとつになる時に 虹が立ち現われるように 色とりどりの影で 霧の中にも同じ輪の形が 架かっているのを私は見る この弧は白い だが 天の弧なのだ だからお前もまた 陽気な老人よ 悲しむことはない たとえ髪は白くなっても それでもお前は恋をするだろう |
このOp.61では私は白眉の作品ではないかと思います。フェブスというのは太陽の神、雨と太陽が作るアーチである色とりどりの虹、そして霧の中の白いアーチ、最後は白髪をその白いアーチになぞらえて、それも空の虹のように輝く恋に結びつくと歌います。ゲーテ晩年の大作「西東詩集」の智慧の書より。同じ詩はヴォルフもゲーテ歌曲集の中で素晴らしい歌にしておりますが、このブラームスの曲も絶妙です。
( 2015.10.03 藤井宏行 )