幽思 四つの抒情歌 |
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ほのかにも揺げる火あり ほのかにも今我が心 はるかなる人無き島の 洞内(ほらぬち)の光明(ひかり)を忍ぶ ほのかにも揺げる灯あり ほのかにも今我が心 春の夜遠方(おちかた)人の 涙にし濡れたる思ひ 我が思ひ 幽かに顫ふ |
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啄木の作品とは思えないようなロマンティックで幻想的な詩です。明治41年 北海道の釧路で新聞社に勤務していた時に書き、そこに掲載された詩なのだそうで、そんなところもこの異色さにつながっているのでしょうか。市川の音楽はまだ20歳前の若書きとは思えないほど。詩も音楽もなかなかに印象深い作品です。
( 2015.04.12 藤井宏行 )