Am Feierabend Op.25 D 795 Die schöne Müllerin |
一日の終わりに 美しき水車小屋の娘 |
Hätt ich tausend Arme zu rühren! Könnt ich brausend Die Räder führen! Könnt ich wehen Durch alle Haine! Könnt ich drehen Alle Steine! Daß die schöne Müllerin Merkte meinen treuen Sinn! Ach,wie ist mein Arm so schwach! Was ich hebe,was ich trage, Was ich schneide,was ich schlage, Jeder Knappe tut mir's nach. Und da sitz ich in der großen Runde, In der stillen kühlen Feierstunde, Und der Meister spricht zu allen: Euer Werk hat mir gefallen; Und das liebe Mädchen sagt Allen eine gute Nacht. |
もしぼくに千本の よく働く腕があったなら! ぼくはそれを唸らせながら 水車を回すことができただろうに! ぼくに吹き抜けることができたなら すべての林の中を! ぼくに回すことができたなら すべての石臼を! そしたらあのきれいな水車小屋の娘は ぼくの気持ちに気付いてくれるのだろうに! ああ ぼくのこの腕は何て弱いんだ! どれだけ抱えても どれだけ運んでも どれだけ切っても どれだけ叩いても 他のやつらもぼくと同じくらいできている ここでぼくが大きな集まりの輪に座っていると 静かな 涼しい夕べの時間に 親方はみんなに向かって言うんだ お前たちの仕事にわしはとても満足しておるぞ と そしてあの愛らしい娘は言うのだ みんな おやすみなさい って |
恋をした若者のやるせない気持ちが見事に表現された名曲だと思います。水車小屋の他の徒弟たちと比べても飛びぬけてすぐれたところのない自分への苛立ちを最初の節では激しい音楽にぶつけ、一転して第2節では嘆きをしみじみと歌います。結局自分はその他大勢の中のひとりで、愛しい娘は振り向いてなどくれないのではないかと。最後の娘の告げる「おやすみなさい」は、振り向いてもらえない若者の心には痛切に響きます。
再び第1節の焦燥が繰り返され、激しい感情の昂ぶりの中で曲は閉じられます。
( 2013.04.20 藤井宏行 )