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Bon till natten    
  Den mörka blomman
夜への祈り  
     暗い花

詩: ベリマン (Bo Hjalmar Bergman,1869-1967) スウェーデン
      

曲: ラングストレーム (Andreas Johan Ture Rangström,1884-1947) スウェーデン   歌詞言語: スウェーデン語


Slut är dagens lust som larmar
vild och kort.
Djupa natt,i dina armar,
bär oss bort.

Vid ditt bröst det nådefulla
skyl vår skam,
medan glömskans timmar rulla
smärtlöst fram,

som en flod,där allt får drunkna,
glider kall
över dolda brott och sjunkna
syndafall.

Du som ensam dig förbarmar
och ger svar,
milda natt,i dina armar,
håll oss kvar.

荒々しく冷たく喧噪する
昼の喜びは終わった。
深い夜は、腕の中で
私たちを遠く運んでゆく。

あなたの胸の中で私たちの恥じらいは
思いやり深く覆い隠される。
その間忘却の時は
苦しみもなく流れてゆく。

全てのものを飲み込む洪水が
隠された罪と
深く沈んでいる罪の上を
冷たく流れていくように

ただ一人情け深く
答えてくれるのはあなた、
優しい夜は、腕の中で
私たちをしっかりと抱きしめる。

 ラングストレームは20世紀前半に活躍したスウェーデンの作曲家。4つの交響曲をはじめ管弦楽曲も残したが、声楽教師でもあった彼にとって一番重要だったのは300に及ぶ歌曲だった。私はラングストレームの歌曲はごく一部しか接したことはないが、「夜への祈り」は彼の歌曲の中でもっとも知られているようだ。
 詩人のブー・ベリマン(1869?1967)は、主としてストックホルム周辺を舞台とした作品を書き、控えめながら完璧な表現力をもって、内面世界のメランコリックな感情を描いたという。ラングストレームやステンハンマルが多くの曲をつけた。
 この詩はとても都会的に思える。詩の背景は多分20世紀前半のストックホルムなので、都会といっても現代の殺伐としたものではないはずだが、現代の大都会にもそのまま当てはまる雰囲気がある。ある種神秘的である種エロチックな、不思議な情感の詩である。
 音楽は終始ゆっくりとしたテンポだが、ピアノの前奏と曲冒頭の4つの下降音が大変強い印象を残す。この部分は冷たく、また宗教的な響きもして、一度聞いただけで耳にこびりつく。しかし、次第に暗い中にも暖かみを帯びてきて、「祈り」を秘めるように余韻を残しながら曲を閉じる。
 それほど多くの歌手で聞いているわけでもないが、前奏と歌の冒頭をどのように演奏するかがこの曲のポイントのように思われる。初めてこの曲を聴いたセーデルシュトレーム(Swedish Society)はここを結構強く押し出す。その分優しさよりは暗さや重さが出ている。一番入手しやすいフォン・オッター(DG)は遅めのテンポで、もっとエロチックな雰囲気を漂わせる。私が理解するこの詩の世界に一番近いのは今のところこのCD。最近出たクリンゲルボーン盤(Virgin)は、冒頭をとてもソフトに奏でている。詩の世界からは距離があるが、彼女の声質と相まって少女の祈りを思わせる世界を描き出している。

( 1999.04.06 小林幸也 )


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