Die stille Lotusblume S.321 |
静かなスイレンの花 |
Die stille Wasserrose steigt aus dem blauen See, die Blätter flimmern und blitzen, der Kelch ist weiß wie Schnee. Da gießt der Mond vom Himmel all' seinen gold'nen Schein, gießt alle seine Strahlen in ihren Schoß hinein. Im Wasser um die Blume kreiset ein weißer Schwan er singt so süß,so leise und schaut die Blume an. Er singt so süß,so leise und will im Singen vergehn. O Blume,weiße Blume, kannst du das Lied verstehn? |
静かにスイレンの花が 青い湖面の上に顔を出す その葉はきらめき輝いて その花は雪のように白い そこに天の月は注ぐのだ その黄金色の光のすべてを その輝きをすべて注ぎこむ 彼女のふところ目がけて 花のまわりの水面には 一羽の白鳥が円を描いている 彼は甘くひそやかに歌う そして花を見つめるのだ 彼は甘くひそやかに歌う そして歌いながら死のうとしている おお花よ、白い花 おまえにその歌は分かるのだろうか? |
シューマンがメロディをつけていてたいへん有名なハイネの詩「ハスの花」にそっくりなシチュエーションのガイベルによるこの詩、ただハイネのものよりももっと耽美的な感じです。となればリストのメロディはまさに打ってつけ。ピアノ伴奏の濃密さも合わせて、強烈な夏の夜の物語が紡ぎ出されることとなりました。
( 2011.06.12 藤井宏行 )