馬売り |
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泣けてしまえど いとしの黒馬(あお)よ 明日は馬市 汝(われ)売りに 仔馬見せよか 燕麦(からすむぎ)やろか なまじ 月夜の きりぎりす |
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これは白秋の「日本の笛」でも信州を舞台としたセクション「別れ霜」に収められています。
ロシアの歌謡曲のような濃密な、しかしロマンチックなメロディはあまり日本民謡という感じはしません。
平井康三郎の思いっ切り日本情緒を前面に出してきた曲集を聴いたあとでは、このような洋風の音楽がこの詩についているのは違和感なしとはしませんが...
これも「鐘が鳴ります」と同じ大正12年の作品なのだそうです。
「日本の笛」初版の発行が大正11年とのことですので、耕筰の曲はそれから間もなく書かれたのですね。
( 2010.11.07 藤井宏行 )