ちびツグミ 日本の笛 |
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暗いうちから わしゃ山かせぎ 「腰には水筒(すいづつ) 山刀 肩には鳥網 蓑と笠、 えさえさえっさ えっさっさ 水?かみかみ 九十九(つづら)折 北風ぴゅうぴゅう すっ飛んだ」 これも誰ゆえ アリャコノ ちびツグミ こうと網張りゃ もう 手のものよ 「鳥屋(とや)にはいろり火 自在鉤(かぎ) 徳利に濁酒(どぶろく) 山の薯(いも) ちろりや ちろりや ちんちろり 山鳥ゃほろほろ 雉子けんけん 夜明の明星 ちんちろり」 逃がしゃせぬぞへ アリャコノ ちびツグミ |
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これも山国信州の霞網の猟師でしょうか。戦後の昭和22年に霞網猟は法律で禁止されましたので、今やこんな猟師もたぶんいなくなりました。ちんちろりと秋の虫が鳴いてはおりますが、朝早いとまだ寒い山の中ですね。
霞網さえ張ればあとはちびツグミたちの「一網打尽」を待つばかり、鳥屋という山小屋に入って囲炉裏端で自在鉤に吊るした鍋の中、どぶろくを入れた徳利を燗して山イモをつまみに一杯としゃれこんでいるという訳でしょう。
なんともユーモラスな詩にユーモラスな音楽がついています。最後の「アリャコノ ちびツグミ」のところは大声で叱るように、と指示されておりますが、捕まえられる鳥たちに取ってみれば八つ当たりされているようなものですね。
( 2010.10.09 藤井宏行 )