Urlicht Des Knaben Wunderhorn |
はじめての灯り 子供の不思議な角笛 |
O Röschen rot! Der Mensch liegt in größter Not! Der Mensch liegt in größter Pein! Je lieber möcht' ich im Himmel sein, je lieber möcht' ich im Himmel sein! Da kam ich auf einen breiten Weg; Da kam ein Engelein und wollt’ mich abweisen. Ach nein,ich ließ mich nicht abweisen, ach nein,ich ließ mich nicht abweisen! Ich bin von Gott,und will wieder zu Gott! Der liebe Gott,der liebe Gott wird mir ein Lichtchen geben, wird leuchten mir bis in das ewig selig' Leben! |
おお赤いバラよ! 人は大いなる苦難の中にある! 人は大いなる苦痛の中にある! それなら私は願う むしろ天国にいたいものだ それなら私は願う むしろ天国にいたいものだと! そこで私は広い道を進んで行った すると天使が現われ、私を追い返そうとした ああ、やめてくれ! 私は自分を追い返させはしない ああ、やめてくれ! 私は自分を追い返させはしない! 私は神のもとから来て、神のもとへ帰るのだ! 親愛なる神は 親愛なる神は 私に小さな灯りを下さるだろう それは私を照らしてくれるのだ 永遠の至福の生へと至るまで! |
この曲も単独で角笛歌曲集として歌われるよりは、交響曲第2番の第4楽章として歌われることの方が多いでしょうか。かなり深遠な宗教的な内容ですが、道で天使に帰れと邪魔されているところなどはなんとなく微笑を誘い、民間伝承の味わいを醸し出しています。マーラーのつけた音楽も、最初と最後は聖歌のようなかっちりとしたものですが、この中間部は少し軽やかになり、ちょっぴり人間臭さも感じさせています。
タイトルのUrlichtは「原光」や「始源の光」などと難しく邦訳されていますが、これは詩の中にもある神様が下さった灯かりのことでしょうから、私は素直に「初めての灯かり」としてみました。ちなみに角笛にある原詩のタイトルもUrlichtです。マーラーが曲をつけたものと詩の内容に目立った差異はありませんでした。
(2010.08.12)
訳詞改訂しました。
( 2012.08.31 藤井宏行 )