Rheinlegendchen Des Knaben Wunderhorn |
ラインの伝説 子供の不思議な角笛 |
Bald gras' ich am Neckar, bald gras' ich am Rhein; bald hab' ich ein Schätzel, bald bin ich allein! Was hilft mir das Grasen, wenn d'Sichel nicht schneid't; was hilft mir ein Schätzel, wenn's bei mir nicht bleibt! So soll ich denn grasen am Neckar,am Rhein; so werf' ich mein goldenes Ringlein hinein! Es fließet im Neckar Und fließet im Rhein, Soll schwimmen hinunter in's Meer tief hinein! Und schwimmt es,das Ringlein, so frißt es ein Fisch! Das Fischlein soll kommen auf's König's sein Tisch! Der König tät fragen, wem's Ringlein sollt' sein? Da tät mein Schatz sagen: “Das Ringlein g'hört mein!” Mein Schätzlein tät springen Berg auf und Berg ein, tät mir wied'rum bringen das Goldringlein fein! Kannst grasen am Neckar, kannst grasen am Rhein! Wirf du mir nur immer dein Ringlein hinein! |
あるときには草刈りよ ネッカル川で あるときには草刈りよ ライン川でも 恋人ができたと思ったのに すぐにあたしはひとりぼっち! 草刈りに何の意味があるの もし大鎌が切れないのなら 恋人に何の値打ちがあるの あたしのそばに居てくれないのなら! こんな風に草を刈らなきゃいけないのなら このネッカルや ラインのほとりで こうして放り込んでやるわ 私の金の 指輪をこの中へ! 指輪はネッカル川を流れ そしてライン川を流れて ついには泳ぎつくはずよ 深い海の底へと! 泳いでいれば、その指輪 魚に食べられてしまうでしょう! その魚はきっと出されるわ 王様の食卓の上に! 王様はお尋ねになるの この指輪は誰のものじゃ?って そこであたしの恋人がこう言うのよ: その指輪はわたくしのものです って あたしの恋人は飛び跳ねながら 山を上り 山を下って あたしのところへとまた持ってきてくれるでしょう そのきれいな金の指輪を もしも草を刈るなら ネッカルのほとりで もしも草を刈るなら ラインのほとりで 俺のためにいつでも お前の指輪を放り込んでくれないか! |
水に放り込んだ何かが海に流れ着き、魚の腹に入ってまた戻ってくるというお話はヨーロッパではよくあるのでしょうか。アンデルセンの童話「鉛の兵隊」なども思い起こされるところです。ここで娘が指輪を投げ込んだネッカル川(ネッカー川)というのはライン川の支流でドイツ中央部、シュトゥットガルトのあたりを流れ、マンハイムでライン川に合流しています。NeckarとSchätzel(恋人)、am Rheinとalleinが韻を踏んでいるのが面白いですね。実際はもちろん、恋人に会いたくて仕方のない娘の妄想なわけですが、なんとも愛らしい妄想です。ゆったりとしたレントラーのリズムに乗せて、のどかなメロディが流れる冒頭と、魚に指輪が食べられてから王様の食卓に上るまでのところの音楽の翳り、そしてまた恋人との再会で冒頭の優しいメロディが再来してくるといった具合に音楽もなかなか凝っています。
角笛での原題はRheinischer Bundesring(ラインの指輪同盟)、Mitgetheilt von Frau von Pattberg(パットベルクの女の伝えること)という副題がついています。地図で見ましたらこの町、ネッカー川がラインと合流するよりもかなり下流、デュッセルドルフの近くにありました。しかもライン川からもかなり離れております。
2010.07.30
新全集の歌詞もそれほど目立った違いはありません。リズムの良い詩ですので訳詞の方も日本語の流れが悪かったところを大幅に変えてみました。繰り返し出てくるネッカルとラインが目で追うのと耳に入るのとが自然に揃うように工夫してみましたがいかがなものでしょうか。 訳詞改訂
( 2012.08.31 藤井宏行 )