Das irdische Leben Des Knaben Wunderhorn |
この世の暮らし 子供の不思議な角笛 |
“Mutter,ach Mutter,es hungert mich! Gieb mir Brot,sonst sterbe ich!” “Warte nur! Warte nur,mein liebes Kind! Morgen wollen wir ernten geschwind!” Und als das Korn geerntet war, rief das Kind noch immerdar: “Mutter,ach Mutter,es hungert mich! Gieb mir Brot,sonst sterbe ich!” “Warte nur! Warte nur,mein liebes Kind! Morgen wollen wir dreschen geschwind!” Und als das Korn gedroschen war, rief das Kind noch immerdar: “Mutter,ach Mutter,es hungert mich! Gieb mir Brot,sonst sterbe ich.” “Warte nur! Warte nur,mein liebes Kind, Morgen wollen wir backen geschwind!” Und als das Brot gebacken war, lag das Kind auf der Totenbahr! |
「母ちゃん、なあ母ちゃん おいら腹ペコだ! パンをおくれよ、でなきゃ死んじゃうよ」 「待ちなさい! 待ちなさい かわいいぼうや 明日には急いで刈り取りをするんだから」 そして麦が刈り取られたときも その子はずっと叫んでた 「母ちゃん、なあ母ちゃん おいら腹ペコだ! パンをおくれよ、でなきゃ死んじゃうよ」 「待ちなさい! 待ちなさい かわいいぼうや 明日には急いで麦打ちをするんだから」 そして麦が打たれたときも その子はずっと叫んでた 「母ちゃん、なあ母ちゃん おいら腹ペコだ! パンをおくれよ、でなきゃ死んじゃうよ」 「待ちなさい! 待ちなさい かわいいぼうや 明日には急いでパンを焼くんだから」 そしてパンが焼けたときには その子は横たわっていた 棺台の上に! |
少年の不思議な角笛にある原詩のタイトルはVerspätung(手遅れ)ですが、恐らく作曲者としては交響曲第4番の終楽章に転用された「Das himmlische Leben(天上の暮らし)」との対比を意識したのでしょう。確かにあちらの描写も天国とはいいながら出てくるのは食べ物の話ばかりで、17・18世紀の庶民にとっては食べ物に困らない世界というのが一番の極楽のイメージであったということの裏返しでしょうか。子供を栄養失調で死なせてしまうというようなことも決して珍しくなかったはずで、このような情景も身近にあったということなのかも知れません。
原詩では冒頭に「種蒔き」と、「麦打ち」のあとに「粉挽き」がある全5節ですが、このように3節に縮められました。
非常に短い曲ですが伴奏の描き出す不穏な表情は強烈で、この歌曲集の中でもかなり印象に残る曲のひとつです。マーラー自身、この曲を第10交響曲の第3楽章「煉獄」に転用しようとしていたのだそうです。
(2010.07.18) 訳詞改訂 2012.08.14/31
この曲も新全集が従来の歌詞と大きく異なる部分はなさそうな感じです。 訳詞再改訂
( 2012.08.31 藤井宏行 )