Verlorne müh' Des Knaben Wunderhorn |
無駄な努力 子供の不思議な角笛 |
Sie: Büble,wir- Büble,wir wollen außre gehe! Außre gehe! Wollen wir? Wollen wir? Unsere Lämmer besehe? Komm',Komm',Komm',lieb's Büberle, komm',ich bitt'! Er: Närrisches Dinterle, ich geh dir holt nit! Sie: Willst vielleicht Willst vielleicht ä bissel nasche? Bissel nasche? Willst vielleicht ? Willst vielleicht ? Hol' dir was aus meiner Tasch'! Hol' dir was! Hol' dir was! Hol',Hol',Hol',lieb's Büberle, hol',ich bitt'! Er: Närrisches Dinterle, ich nasch' dir holt nit! Nit! Sie: Gelt,ich soll- gelt,ich soll mein Herz dir schenke, Herz dir schenke!? Gelt,ich soll ? Gelt,ich soll ? Immer willst an mich gedenke!? Immer!? Immer!? Immer!? Nimm's! Nimm's! Nimm's! Lieb's Büberle! Nimm's,ich bitt'! Er: Närrisches Dinterle, ich mag es holt nit! Nit! |
彼女 あんた、あたしたちさあ― あんた、あたしたち外に出かけましょ! 外に出かけましょ! そうしましょ? そうしましょ? あたしたちの子羊を見に? いきましょ!いきましょ! いきましょ!いとしいあんた、 いきましょ、お願いだから! 彼 馬鹿なやつだな おめえ おめえとは行かねえぜ! 彼女 じゃあもしかしてさあ? もしかして何かちょっと食べたくない? ちょっと食べたくない? そうでしょ? そうでしょ? あたしのポケットから取ってよ! とってよあんた、とってよあんた! とって とって とって いとしいあんた とってよ、お願いだから! 彼 馬鹿なやつだな おめえ おめえからもらって食ったりしねえぜ! 彼女 じゃあさ、あたしあげなくちゃね じゃあ あたしあげなくちゃ あんたにこの心を あんたにこの心を? ねえ あげるわよ? ねえ あげるわよ? いつまでもあたしを想ってくれるのよね!? いつまでもね!?いつまでもね!?いつまでもね!? もらって!もらって!もらって!いとしいあんた! もらってよ、お願いだから! 彼 馬鹿なやつだな おめえ そんなもんいらねえぜ! 絶対な! |
女性の立場としましては、勝負をかけた誘いをこんな風にはぐらかされてしまってはかなりつらいものがあるのではないかと邪推をしてしまいますが、マーラーのこの詩につけた曲はゆったりとした3拍子の民族舞曲レントラー。思わず微笑んでしまうようなユーモアをにじませながら淡々と会話は進んでゆきます。最後の男のとどめの一言のあと、伴奏がせせら笑うように盛り上がって終わるのは少々やりすぎのような気もしなくはありませんけれど。ドイツ中部・シュヴァーベン地方の方言で書かれているとのことですので、ちょっと細かなニュアンスまでは捕らえきれませんでしたがこんな感じの訳でいかがでしょうか。
「少年の不思議な角笛」にある原詩ではお菓子のあとに「喉がかわいたから泉に水を飲みにいきましょう」というのと「眠いでしょ、眠りましょ」という2節がありますが歌では省略されています。
(2010.07.09) 訳詞改訂 2012.08.13
繰り返しが多いので訳詞をそれに従って大改訂致しました。言葉の繰り返しがなんともとぼけた味わいを醸し出しております。
Dinterleというのは「娘っ子」とでも言った感じの意味でしょうか。原詩にはないですがここには「おめえ」と呼びかけを入れて見ました。
新全集版の他との大きな違いは、1節目のKomm',Komm',Komm'の繰り返し。多くの版でここはGelt! Komm', Komm(ねえ 行きましょ 行きましょ)となっています。2・3節目のここの部分が同じ言葉Hol'とNimm'sを3回繰り返すのにならって畳み掛ける効果が絶妙なので、私はここも3回Komm'を繰り返す新全集版の方が素敵だと思います。
( 2012.08.31 藤井宏行 )