Um schlimme Kinder artig zu machen Lieder und Gesänge aus der Jugendzeit |
悪い子を良い子にするには 若き日の歌 第二集 |
Es kam ein Herr zum Schlösseli Auf einem schönen Röss'li, Ku-ku-kuk,ku-ku-kuk! Da lugt die Frau zum Fenster aus Und sagt: “Der Mann ist nicht zu Haus, Und niemand heim als meine Kind'; Und's Mädchen ist auf der Wäschewind!” Der Herr auf seinem Rösseli Sagt zu der Frau im Schlösseli: Ku-ku-kuk,ku-ku-kuk! “Sind's gute Kind',sind's böse Kind'? Ach,liebe Frau,ach sagt geschwind,” Ku-ku-kuk,ku-ku-kuk! “In meiner Tasch' für folgsam Kind', Da hab'ich manche Angebind,” Ku-ku-kuk,ku-ku-kuk! Die Frau die sagt: “Sehr böse Kind'! Sie folgen Muttern nicht geschwind, Sind böse,sind böse!” Da sagt der Herr: “So reit'ich heim, Dergleichen Kinder brauch'ich kein'!” Ku-ku-kuk,ku-ku-kuk! Und reit'auf seinem Rösseli Weit,weit entweg vom Schlösseli! Ku-ku-kuk,ku-ku-kuk! |
ひとりの紳士がお屋敷へとやってきた きれいな馬にまたがって カッコー カッコー そこで奥様 窓から身を乗り出して こう言った:「主人は家におりませんの それに家には誰も あたくしの子供の他には それとメイドが洗い場におりましたかしら」 馬に乗った紳士は お屋敷の中の奥様に向かって言った カッコー カッコー 「その子は良い子ですか、悪い子ですか? ああ、いとしの奥様、すぐにお答えを」 カッコー カッコー 「私のポケットには 言うことを聞く子のために たくさんのお土産があるのだけれど」 カッコー カッコー 奥様は答えた:「とっても悪い子なのよ 母親の言うことなんか聞きやしない 悪い子よ 悪い子なのよ!」 そこで紳士は答えた:それなら私は家に帰ろう そんな子に私は用はない! カッコー カッコー そして馬にまたがって 遠く、遠くお屋敷から去っていく カッコー カッコー |
この第2集になってから、マーラーは彼の作曲の中でも重要な位置を占める「少年の不思議な角笛」をテキストとした歌曲に取り組み始めます。その1曲目はご覧のようにカッコウの鳴き声を織り交ぜた愉快な歌。そう言えばこのカッコウの鳴き声もマーラーの音楽には非常に良く現れてきます。なお原詩にはこの鳴き声はなく、マーラーが追加したもののようです。追加といえば「私のポケットにはおみやげが」のくだりも作曲者の追加です。
お昼の有閑マダム向けソープオペラ向きのちょっとお洒落なアバンチュールの一シーンかと思いきや、これはなんというオチでしょうか。タイトルにある「悪い子」というのは実はこのお屋敷に住む「奥様」なのではないかとさえ読めますね。ピアノ伴奏の力強い響きは馬に乗っている紳士の描写だと思うのですが、後奏の堂々と去っていくところなどは思わず微笑んでしまいます。
( 2010.05.15 藤井宏行 )