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Hébé   Op.2-6  
  Sept melodies
エベ  
     7つの歌

詩: アッカーマン (Louise-Victorine Ackermann,1813-1890) フランス
      

曲: ショーソン (Amédée-Ernest Chausson,1855-1899) フランス   歌詞言語: フランス語


Les yeux baissés,rougissante et candide,
Vers leur banquet quand Hébé s'avançait.
Les Dieux charmés tendaient leur coupe vide,
Et de nectar l'enfant la remplissait.

Nous tous aussi,quand passe la jeunesse,
Nous lui tendons notre coupe à l'envi.
Quel est le vin qu'y verse la Déesse?
Nous l'ignorons; il enivre et ravit.

Ayant souri dans sa grâce immortelle,
Hébé s'éloigne; on la rappelle en vain.
Longtemps encor sur la route éternelle,
Notre oeil en pleurs suit l'échanson divin.

目を伏せて、頬を赤らめて無邪気に
彼らの宴にエベが歩み出るとき
魅せられた神々は彼らの杯を差し出し
その子はそれを神酒で満たす

われらもまた、若い女神が通り過ぎる時には
競って杯を差し出そう
どんな酒を女神はそそぐのだろうか?
われらには分からぬが、それは酔わせ 喜びをくれる

不滅の気品でほほ笑むと
エベは立ち去る、呼び戻しても無駄だ
ずっと長いこと、永遠の道の上を
われらの目は涙にくれてこの神の酌人を見送る



ギリシャ神話に登場する永遠の若さを象徴する女神エベのことを描いた歌です。オリンポスでは神々の酌をしていたという彼女ですが、その彼女が注ぐ酒とはつまり「若さ」のことでしょう。それを私たちにもほんの一瞬だけ注いでくれて、そして彼女は去っていってしまう。
フリギア旋法を使って古雅な響きを紡ぎながら人生の哀しみをほんのりと描きだす、ショーソンならではの味わい深い歌曲です。

( 2011.09.04 藤井宏行 )


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