TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ


Darf des Falken Schwinge   Op.55-7  
  Zigeunermelodien (Cigánské melodie)
鷹の翼は  
     ジプシーのメロディー

詩: ヘイドゥク (Adolf Heyduk (1835 - 1923),1835-1923) チェコ
    Cigánské melodie 19 Dejte klec jestřábu

曲: ドヴォルザーク (Antonín Leopold Dvořák,1841-1904) チェコ   歌詞言語: ドイツ語/チェコ語


Darf des Falken Schwinge
Tatrahoh'n umrauschen,
Wird das Felsennest er mit
Dem Käfig tauschen.

Kann das wilde Fohlen
Jagen durch die Haide,
Wird's an Zaum und Zügel
Finden seine Freude.

Hat Natur Zigeuner
Etwas dir gegeben,
Jah! Zur Freiheit schuf sie mir
Das ganze Leben.




(チェコ語詞)
Dejte klec jestřábu ze zlata ryzého;
nezmění on za ni hnízda trněného.
Komoni bujnému,jenž se pustou žene,
zřídka kdy připnete uzdy a třemene.
A tak i cigánu příroda cos dala:
k volnosti ho věčným poutem,k volnosti ho upoutala.
鷹の翼は
タトラの峰をざわめかせるが
彼は岩山の巣を
鳥かごと交換したいと思うだろうか

野生の馬は
荒野を駆け抜けるが
彼は轡や手綱に
喜びを見出せるだろうか

ジプシー気質が
お前に与えたもの
そう!自由を目指すことを私は定められたのだ
この一生涯





純金でできた鳥かごをタカが与えられても
それを岩山の巣と交換することなどない
野生の馬が、自由に駆け巡れるのに
轡や手綱を求めることはない
そしてジプシーの気質がお前に与えたのは
自由に向けての永遠の束縛だ、自由への執着だ


最後の曲も軽快に力強くジプシーの自由な生き方を謳歌します。馬が疾走するような激しいピアノの前奏・間奏と、対照的にゆったりと歌われる声との対比が絶妙。最後はピアノの後奏も歌の盛り上がりに引きずられて堂々と締めくくられます。こちらはチェコ語の詩の方が面白いですね。私の誤訳である可能性は否定しきれないものの、最後のフレーズの「ジプシーは自由であらねばならないという『束縛』がある」という言葉は逆説的です。また「気質(「かたぎ」と読んで頂ければうれしいです)」と訳しましたNatur(チェコ語ではtéž)、ドイツ語から英語のNatureが容易に連想できるように「本質的(根源的)に持っているもの」とでもいったニュアンスでしょう。「ジプシーの自然」と訳しているものもありましたがちょっと日本語として違和感があったので(「ジプシーの天性」ならもう少しましか?)、思い切って意訳しました。
大元の詩集にある詩は19番目。下に記しましたがこれはかなり歌われるチェコ語詞とは違っています。


Dejte klec jestřábu
ze zlata drahého,
nedá za ni věru
hnízda trnitého.
Koníku bujnému,
jenž se pustou žene,
nikdy nepřipnete
uzdy a třemene.
Hoj,též cigánovi
příroda cos dala:
k volnosti ho čárným
poutem připoutala.
(19番目)

( 2009.09.22 藤井宏行 )


TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ