Einerlei Op.69-3 TrV 237 Fünf kleine Lieder |
かわらぬもの 5つの小さな歌曲 |
Ihr Mund ist stets derselbe, Sein Kuß mir immer neu, Ihr Auge noch dasselbe, Sein freier Blick mir treu; O du liebes Einerlei, Wie wird aus dir so mancherlei! |
彼女のくちびるはいつでも同じだけれど そのキスはぼくにはいつも新鮮だ 彼女の瞳はいつも同じだけど その曇りのない眼差しはぼくには真実だ おお 君よ 愛しき変わらざる者よ 何て多くのものが君から得られるのだ! |
粋な小唄のようなこの詞、シュトラウスのつけた音楽もちょっとしゃれていて素敵です。詩人のカール・ヨアヒム・フォン・アルニム(1781-1831)は、通称アヒム・フォン・アルニムで、クレメンス・ブレンターノと共同で民謡詩「子供の不思議な角笛」を編纂したことでも知られるドイツロマン派の詩人。シュトラウスの歌曲にはあまり多くない18〜19世紀に活躍した詩人ですが、ちょうどこの頃はOp.68でブレンターノの詩を6曲立て続けに歌曲にするなどかなりこの時代の詩にはまっていたところがあるのかも知れません。また音楽的にも多彩な表情を持った歌曲がいろいろあって、このあたりのシュトラウス歌曲を探訪してみるのは大変に面白いところです。そういえば「商人の鑑」Op.66からけっこう立て続けに歌曲作品が並んでいますね。
( 2008.10.01 藤井宏行 )