Befreit Op.39-4 TrV 189 Fünf Lieder |
解き放たれて 5つの歌曲 |
Du wirst nicht weinen. Leise Wirst du lächeln und wie zur Reise Geb' ich dir Blick und Kuß zurück. Unsre lieben vier Wände,du hast sie bereitet, Ich habe sie dir zur Welt geweitet; O Glück! Dann wirst du heiß meine Hände fassen Und wirst mir deine Seele lassen, Läßt unsern Kindern mich zurück. Du schenktest mir dein ganzes Leben, Ich will es ihnen wieder geben; O Glück! Es wird sehr bald sein,wir wissen's beide, Wir haben einander befreit vom Leide, So gab' ich dich der Welt zurück! Dann wirst du mir nur noch im Traum erscheinen Und mich segnen und mit mir weinen; O Glück! |
お前は泣いたりしないだろう、穏やかに、穏やかに 微笑むだろう、そして旅立つ時のように 私もお返しの眼差しとくちづけを贈ろう 私たちの愛しいこの部屋は、お前が整えたもの 私はこれをお前のため 世界へと広げてきたのだ ああ 幸せよ! それからお前は熱く私の手を取り そして私にお前の魂をゆだねてゆくのだ 子供たちのために私を残してゆく お前が私にすべての命をくれたのだから 私もいずれ命を子供たちにゆだねよう ああ 幸せよ! 別れはもう間もなくだ、私たちふたりが分かっているように だがお互いに悲しみからは解き放たれている だからこそ私はお前を世界へと返すのだ それでもお前は なおも私の夢の中に現れて 私を祝福し そして私と一緒に涙を流すのだ ああ 幸せよ! |
タイトルのBefreitというのは「自由にされる」という意味ですが、ここでは魂が肉体より自由になって天国へと去っていくことを意味していますね。「救済」とか「解脱」といったタイトルも考えたのですが、ここでのお別れの光景はそんなあまりに宗教的な言葉で表すにはふさわしくないように思えましたので「解き放たれて」としました。第3連でこの言葉は使われていますが、そこでは「苦悩から解き放たれて」というニュアンスです。
歌詞の内容はお読み頂ければお分かりでしょうか。愛する妻に先立たれる光景は悲しみ以外の何物でもないはずなのでしょうが、この二人はそんな俗世の感情からすべて「解き放たれて」いるようです。音楽も穏やかに淡々と流れて行き、最後の「ああ 幸せよ」も仰々しくなることなくさらっと語られます。
( 2008.10.01 藤井宏行 )