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O falce di luna calante   P 90  
  Sei Liriche,prima serie
欠けゆく月の半円が  
     6つの抒情歌 第1集

詩: ダンヌンツィオ (Gabriele d'Annunzio,1863-1938) イタリア
      O falce di luna calante

曲: レスピーギ (Ottorino Respighi,1879-1936) イタリア   歌詞言語: イタリア語


O falce di luna calante
che brilli su l'acque deserte,
o falce d'argento,qual mèsse di sogni
ondeggia a 'l tuo mite chiarore qua giù!

Aneliti brevi di foglie
di fiori di flutti da 'l bosco
esalano a 'l mare: non canto,non grido,
non suono pe 'l vasto silenzio va.

Oppresso d'amor,di piacere,
il popol de' vivi s'addorme.
O falce calante,qual mèsse di sogni
ondeggia a 'l tuo mite chiarore qua giü!

欠けてゆく月の半円が
誰もいない水の上を照らす
銀色の半月、夢の収穫物よ
お前の穏やかな光が揺れながらここへと降りてくるのだ

短いざわめき 木の葉たちの
花の 森からくるそよ風の
それらは海へと伝わっていく:歌うことなく、叫ぶことなく
音もなく 巨大な静けさの中を進んでいく

愛に、喜びに押さえつけられて
生き生きとした夢を見る人々
おお欠け行く半月よ、夢の収穫物よ
お前の穏やかな光が揺れながらここへと降りてくるのだ


イタリア近代歌曲の中でも、レスピーギのものは何とも言い難い色彩感があります。例えは良くないかも知れませんけれども、ドビュッシーの初期歌曲のなまめかしさをそのままイタリア語に翻訳したかのような不思議な浮遊感を感じるのです。それでこんな感じの幻想味のあふれる詩に付けた歌曲は実にいい味わい。
このダヌンツィオの詩、ちょっと難しくてうまく訳せていないのですが現時点でできる限りのものをアップしました。Falceというのはもう少し細い鎌状の月のことをいうようですが、「欠けてゆく月の三日月」という表現ではなんなので苦し紛れに「半円」としました。細い三日月というとイスラムのシンボルを連想しますけれども、この詩から私が感じたのもエキゾチックな海辺の光景です。

( 2008.09.12 藤井宏行 )


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