V chetyrekh stenakh Bez solnca |
四つの壁に囲まれ 日の光もなく |
Komnatka tesnaja,tikhaja,milaja, Ten’ neprogljadnaja,ten’ bezotvetnaja, Duma glubokaja,pesnja unylaja, V b’jushchemsja serdtse nadezhda zavetnaja Bystryj polet za mgnoven’em mgnovenija, Vzor nepodvizhnyj na schast’e dalekoe, Mnogo somnenija,mnogo terpenija, Vot ona,noch’ moja,noch’ odinokaja. |
静かな、心地よい小さな部屋 真っ暗な影、答えない影 深い物思い、陰鬱な歌 脈打つ心臓にはひそやかな望み ほんの一瞬の素早い飛翔 遠くの幸せをじっと見つめる瞳 たくさんの疑念、たくさんの忍耐 ほらこれがそうなんだ、僕の夜、孤独の夜 |
狭い部屋でたったひとり、ぶつぶつと何かつぶやいているようなそんな歌です。同じ作詞作曲コンビによる「死の歌と踊り」に比べてもこの歌曲集「日の光なく」は救いのない虚無感に満ちています。荒々しいダイナミズムも、耳に心地よいメロディもなくただひたすらに孤独のモノローグを繰り返す、恐ろしく取っ付きの悪い歌ですがじっくり聴きこむほどに凍りつくような美しさに痺れてしまう曲だと思います。暗い詩ですけれども音楽は何か突き放しているような長調のメロディでしっとりと、しかし吐き捨てるように歌われます。
この歌曲集、とにかく歌われる詩の中身が観念的でとても分かりにくいので、ムソルグスキーの重要な作品であるにも関わらず今まで訳を避けて参りました。今回のものも相当勘違いが含まれていることを予めご了承ください。
( 2008.08.01 藤井宏行 )