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Finskij zaliv    
 
フィンランド湾  
    

詩: オボドフスキー (Platon Grigorevich Obodovsky,1803-1861) ロシア
      Финский залив

曲: グリンカ (Michael Glinka,1804-1857) ロシア   歌詞言語: ロシア語


Ljublju ja v razdum’e v chastikhij zakata
s zelenogo skata gljadet’ na zaliv.
Ljubujus’,kak solntse spuskaetsja v volny,
kak rezvye chelny skol’zjat po volnam.
Ja pamjat’ju serdtsa togda ozhivau.
v mechtakh uletaju v poludennyj kraj,
I vizhu zaliv ja i gorod starinnyj
s goroju pustynnoj,tam lavrov lesa.
Zdes’ grot moj ljubimyj,gde zhizniju novoj
zaliv birjuzovyj v menja naveval.
Palermo! Zabyt’ li dushe blagodarnoj
tvoj lik luchezarnyj,gljadjashchij v zaliv!
Tvoj vozdukh tselebnyj,svod neba kristal’nyj
na rodine dal’nej zabyt’ li kogda?
Tebja ne izgladjat razluki usil’ja,
u serdtsa est’ kryl’ja v mechtatel’nyj mir!


物思いに耽りながら この静かな夕暮れ時に
緑の丘の上から この湾を眺めるのが好きだ
私は見とれる 太陽が波間に沈んでいき
小舟が素早く波の上を滑って行く様子を
それから私は心の中の思い出をよみがえらせる
夢の中で あの南の国へと飛んでいくのだ
そこにも私は湾を見る、そして古代の都
月桂樹に覆われた 荒れ果てた山のふもとに
ここには愛する洞窟がある、私の新しい人生を
トルコ石色の入江にともたらしてくれた
パレルモよ! 私の感謝の気持ちはお前を忘れない
お前の輝く姿が 湾に映っているのを
お前のさわやかな空気を、澄み渡った空を
この遠く離れた私の国からも忘れる時があろうか?
お前は消え去りはしなかった、別れという力を受けても
夢の世界では 心は翼を持っているのだから


穏やかな表情で淡々と歌われるのが印象的なグリンカ後期の傑作です。フィンランドとはついていても実際にこの湾はロシアの首都サンクトペテルスブルグに面していますので、ちょっと郊外の丘に足を延ばして見下ろしているというところでしょうか。そして眼下の風景に、かつて訪れたイタリア・シチリア島の都市パレルモの風景を重ね合わせている。グリンカはイタリアやスペイン風のメロディを書くのはお得意でしたから、これもまたイタリアのバルカローラのリズムで見事な音楽にしています。
詩はロシア皇后がこのパレルモを訪問したことを記念して書かれたものだそうで、そうしてみると確かにあまり深みは感じられないところもあるにはありますが、この穏やかな音楽にはなかなか良くはまっているでしょうか。

( 2008.08.01 藤井宏行 )


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