Fagnes de Wallonie FP 107 Banalités |
ワロニーの沼地 月並み |
Tant de tristesses plénières Prirent mon coeur aux fagnes désolées Quand las j'ai reposé dans les sapinières Le poids des kilomètres pendant que râlait le vent d'ouest. J'avais quitté le joli bois Les écureuils y sont restés Ma pipe essayait de faire des nuages Au ciel Qui restait pur obstinément. Je n'ai confié aucun secret sinon une chanson énigmatique Aux tourbières humides Les bruyères fleurant le miel Attiraient les abeilles Et mes pieds endoloris Foulaient les myrtilles et les airelles Tendrement mariée Nord Nord La vie s'y tord En arbres forts Et tors. La vie y mord La mort À belles dents Quand bruit le vent |
たくさんの溢れかえる悲しみが ぼくの心を捕まえた、この荒れ果てた沼地で 何キロも歩いて疲れ果てたぼくの体を モミの木の森に休めていたときに 西から激しい風が吹いていた ぼくは美しい森を出てしまっていたが リスたちはそこに残っていた ぼくのパイプは雲を作ろうとしていた この空に いつまでも澄み切っている空に ぼくは秘密を隠したままだ なぞめいた歌を歌って聞かせるだけだ このじめじめした沼の土にむかって 荒地に咲く花の蜜の香りは ミツバチたちを引き寄せ ぼくの痛む足は 苔桃を踏みつけた 優しく結ばれた 北の地 北の地 生命は身をよじり 力強い木になり 身をよじり そこで命を噛みちぎる 死 美しい歯で 風が吹きすさぶときに |
多彩な表情を見せてくれるこの歌曲集の中で、この曲が一番典型的なプーランクの快活さが出ているようで楽しく聴けます。早口でまくしたてるように聴かれるフランス語の響きは絶妙ですし、メロディの流麗さも溜息もの。次の曲「パリ」もそんな楽しさはありますが、いかんせん曲が短すぎますし、プーランクの個性だけでない別の魅力が混じり過ぎています。アポリネールの詩は言葉の断片を散りばめて不思議な余韻を残して終わります。これが詩の中にある「なぞめいた歌」なのでしょうか。あまり快活な内容の詩ではないのですけれども、音楽は流麗なのがまた不思議。
ワロニーというのはベルギーの一地方の地名で、沼沢地帯なのだそうです。
( 2007.11.09 藤井宏行 )