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	五月の貴公子		 				  朔太郎の四つの詩  | 									
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若草の上をあるいてゐるとき わたしの靴は白い足あとをのこしてゆく ほそいすてつきの銀が草でみがかれ まるめてぬいだ手ぶくろが宙でおどつて居る ああすつぱりといつさいの憂愁をなげだして わたしは柔和の羊になりたい しつとりとした貴女のくびに手をかけて あたらしいあやめおしろいの にほいをかいで居たい 若くさの上をあるいてゐるとき わたしは五月の貴公子である  | 																
    																
																
																
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( 2020.09.20 藤井宏行 )