Meerfahrt Op.18-4 Sechs Gesänge |
航海 6つの歌 |
Mein Liebchen,wir saßen beisammen, Traulich im leichten Kahn. Die Nacht war still und wir schwammen Auf weiter Wasserbahn. Die Geisterinsel,die schöne, Lag dämm'rig im Mondenglanz; Dort klangen liebe Töne, Und wogte der Nebeltanz. Dort klang es lieb und lieber, Und wogt' es hin und her; Wir aber schwammen vorüber, Trostlos auf weitem Meer. |
恋人よ、僕らは一緒に座っていたね 軽やかな小舟でくつろいで 静かな夜、僕らは 水路を先へと進んでいった 美しい精霊の島が 月光におぼろに照らされていた そこでは愛らしい楽の音が響き 霧が舞い踊り揺れていた 響きは愛らしく、さらに愛らしく そこここに霧の舞いは揺れる だが僕らは通り過ぎ 望みもなしに沖へと進んでいった |
この詩にはメンデルスゾーン、ブラームス、若き日のヴォルフ、マクダウェルも録音していますが、いずれも波の音や舟歌のリズムを使用して船旅を描写している中、このフランツの作だけは全く普通の歌曲なのがかえって新鮮です。フランツらしい親しみやすい旋律の明るい曲調ですが、最後は短調で物憂く締めくくられているのがロマン的で好ましく思いました。
演奏は白井さん(カプリチオ)しか聴いたことがありませんが、万全の歌唱です。なおこの曲にはリストのピアノ編曲版があるようです。
( 2006.02.17 甲斐貴也 )