火力発電とアンモニア

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3月25日は「電気の日」です。

1878年(明治11年)3月25日、日本で初めて電灯が点灯されました。

そのことを記念して、1927年(昭和2年)に日本電気協会が制定したのが「電気の日」です。

・・・というわけで、今月は、電気に関する話です。



【火力発電への依存度は、8割を超えている】


日本国勢図絵によると、2010年と2020年に国内で発電された総電力量の内訳は、

それぞれ次のようになっています。

(2010年)水力:7.8%、火力:66.7%、原子力:24.9%、その他:0.6%

(2020年)水力:9.1%、火力:83.2%、原子力: 3.9%、その他:3.8%

これらを円グラフにすると、もっと視覚効果が出るでしょう!

「円グラフ」は、小学5年生の算数で学びます♪



2010年に比べ、2020年では、原子力発電の割合が小さくなり、火力発電の割合が大きくなっています。

これは、東日本大震災(2011年)の影響です。

原子力発電所の事故により、原子力発電の危険性が指摘されて以降、

多くの原子力発電所が運転停止となりました。 そのため、足りない発電量を火力発電で補っているのです。



ただ、火力発電では、温室効果ガスである二酸化炭素を大量に排出してしまいます。

カーボンニュートラルを2050年までに達成することを目指しており、

この10年間で、風力による発電量は約2倍に、太陽光による発電量は実に1000倍以上にもなりましたが、

まだまだ再生可能エネルギーの利用はわずかなもので、火力発電に頼らざるを得ない状況です。



【アンモニア混焼】


今しばらくは、火力発電に頼らざるを得ない状況下、

「二酸化炭素の排出量を少しでも減らせないか?」と考えたいところ。

火力発電に用いる燃料は、主に、石炭・石油・天然ガスといった化石燃料ですが、

中でも、全体の約3分の2を占める石炭から、いかにして二酸化炭素の排出量を減らせるか?



「アンモニア混焼」が考えられています。

燃焼に用いる石炭の一部をアンモニアに置き換えるのです。

アンモニアが燃焼するときの化学反応式は

4NH + 3O → 2N + 6H

なので、二酸化炭素は出ません。

窒素は、元々、空気中の約8割を占めるほど、ごく普通に存在するものなので、環境負荷になりません。



【アンモニアの合成】


「アンモニアの混焼」は魅力的な話なのですが、問題点があります。 それは、「アンモニア」の調達法です。

高校化学でアンモニアの合成について学びます。 「ハーバー・ボッシュ法」では、

+ 3H → 2NH

という化学反応式で表されている通り、窒素と水素からアンモニアを合成します。

この化学反応式をボーっと見ているだけだと、アンモニアが簡単に手に入りそうですが、

実は、そんな簡単な話ではありません。



【水素の調達問題】


窒素は、空気中から大量に調達できるわけですが、水素の調達をどうする?・・・という話になります。

中学校の理科で学ぶ「水の電気分解」により、水素を得ることはできますが、

これでは、電気を使用しているので、本末転倒・・・。

発電のためにアンモニアを使いたいのに、アンモニア合成のために電気を使用したのでは意味がありません。



工業的な水素の製法は、高校化学で学びますが、

天然ガスやナフサ(原油から精製した、ガソリンの素)を水蒸気と反応させ、合成ガスを得るものです。

合成ガスとは、一酸化炭素と水素の混合気体です。

気体の分離は上方置換かな?・・・とも思いますが、一酸化炭素の分子量が28であり、

空気の平均分子量(28.8)と近く、あからさまに空気より重いわけではないので、難しいかも・・・。

一酸化炭素を、さらに水蒸気と反応させると二酸化炭素になり、二酸化炭素は水に溶けるので、

水上置換により、水素と二酸化炭素を分ける方法は大丈夫かも知れません。

ただ、二酸化炭素が発生しているので、これも本末転倒か???

二酸化炭素の排出を抑えるためのアンモニア混焼なので、

アンモニア合成の材料である水素を得る段階で二酸化炭素を排出していては意味がありません。



【エネルギー消費問題】


当時、ノーベル賞を獲得した「ハーバー・ボッシュ法」ですが、

実は、この化学反応式には現れていない問題点があります。

それは、この化学反応を行う時の条件です。

「高温・高圧下」という条件でないと、この反応は起こりません。

つまり、ハーバー・ボッシュ法では、大量のエネルギーを使わないとアンモニアを得ることができないのです。

ちなみに、大学入試では、ハーバー・ボッシュ法の化学反応式が書けるかどうか試されるだけでなく、

「高温・高圧下」でないと、この反応を起こせないことまで知っているか問われますので、御注意あれ!



火力発電も含めて、発電の目的が電気エネルギーを得ることなのに、

そのエネルギーを得るために、大量のエネルギーを消費してしまったのでは意味がありません。

産業革命が起こったのは、蒸気機関が発明されたから・・・というイメージがあるかも知れません。

間違い!・・・とは言いませんが、動力革命が本格的に起こったのは、さらに半世紀後になります。

ニューコメンが蒸気機関を発明した当時(18世紀初期)は、

採掘した石炭の半分弱を、次の石炭採掘に利用しており、とても採算が取れるものではありませんでした。

その状況を改善したのがワットで、採掘に使用する石炭量を4分の1以下にすることに成功しました。

こうしてエネルギー効率が良くなった18世紀後半からが、本格的な産業革命ということになります。



石炭火力発電によって排出される二酸化炭素量を抑える救世主になる「アンモニア混焼」ですが、

アンモニアを調達する段階で、もう少し環境に配慮する必要があるでしょう。



【ニトロゲナーゼ】


アンモニアの調達に“生物の力を借りる”という手があります。

中学校の地理で学びますが、ヨーロッパの農業と言えば「混合農業」です。

圃場を4つに区分けし、(冬作物)→(根菜類)→(夏作物)→(牧草)と回します。

このとき、牧草としてクローバーなどのマメ科植物を用いることが多いのですが、

その理由は、マメ科植物には「根粒菌」という菌が共生しているからです。



根粒菌は「窒素固定」ができる細菌です。

高校生物で学びますが、窒素固定とは、空気中の窒素を取り込んでアンモニアに変換することです。

根粒菌は、自身が持っている酵素ニトロゲナーゼを用いて、窒素をアンモニアに変換し、

そのアンモニアを、アミノ酸の合成に利用しています。

+ 6H + 6e + 12ATP + 12H

           → 2NH
+ 12ADP + 12P


により、アンモニアを生合成します。 このとき、付随して、水素の生合成も行っています。

2H + 2e + 4ATP + 4H

           → H
+ 4ADP + 4P


この「ニトロゲナーゼ」を活用できないものでしょうか?



現在、共生窒素固定生物である「根粒菌」以外にも、

「シアノバクテリア」などの非共生窒素固定生物の研究も進められています。

この研究の流れに、皆さんも乗ってみませんか?


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