オートファジー
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2016年のノーベル生理学・医学賞は、オートファジーの仕組みを解明した、 東京工業大学の大隅良典さん(1945−現在)が受賞しました。 【オートファジー】 「オートファジー」とは、細胞が持っている、細胞内のタンパク質を分解するための仕組みの1つです。 細胞は、生命活動に必要なタンパク質を合成するわけですが、合成過程でエラーが起こることもあり得るわけで、 異常なタンパク質ができてしまうと、そのタンパク質を分解しなくてはいけません。 このようなとき、オートファジーが発動します。 タンパク質は、20種類のアミノ酸が連結した高分子です。 これら20種類のアミノ酸すべてを体内で合成できれば良いのですが、 一部のアミノ酸は体内で合成することができず、食事により、外から摂取しなくてはなりません。 このようなアミノ酸を「必須アミノ酸」と言います。 食事を控えるなどにより、栄養環境が悪化した場合、必須アミノ酸の供給が途絶えます。 すると、タンパク質を合成できなくなります。・・・このようなとき、どうするか? 既存のタンパク質を分解して、足りないアミノ酸の供給を行います。 このとき、既存のタンパク質を分解するときにも、オートファジーが発動します。 【感染防御】 細胞内に病原微生物が侵入してしまうことは、よくあります。 これを、そのまま放っておくと、病気になるわけで、 私たちの体は、病気になるのを防ぐための、「免疫」というシステムをもっています。 免疫機構については、高校生物で学びます。 どんな抗原に対しても作動する、非特異的な反応である「自然免疫」と、 特定の抗原に対して作動する、特異的な反応である「獲得免疫」に分けられ、 自然免疫では、マクロファージや好中球による食作用で、抗原を消化分解します。 しかし、リステリア属の細菌のように、食作用を逃れ、細胞質内に侵入してくる抗原もいます。 このような抗原に対してオートファジーが作動すると、 その抗原のタンパク質が分解され、抗原をやっつけることができるのです。 オートファジーは、自分のタンパク質を分解するのみならず、 外来の病原微生物のタンパク質まで分解するのですね。 【リステリア属の細菌】 本来なら、オートファジーの役割を知った後、ノーベル賞の受賞対象となった理由である、 オートファジーのしくみを詳しく見ていくところなのでしょうが、 調べてて、「リステリア属の細菌は、食作用を突破する。」という情報を、たまたま目にしたので、 そちらの方が気になって、脱線します(笑)。(まぁ、このように、好奇心は、それぞれですね〜。) リステリア菌は、代表的なグラム陽性桿菌の1種で、髄膜炎を引き起こし、発熱や嘔吐などの症状が出ます。 「なぜ、リステリア菌は、食作用を突破できるのか?」 どうやら、マクロファージや好中球により貪食されたとき、 リステリア菌が、リステリオリシンOという溶血素を産生しているようです。 マクロファージなどに取り込まれたリステリア菌が出すリステリオリシンOは、 マクロファージなどの細胞膜を溶かし、穴を開けて脱出するようです。 コレステロール依存性溶解素(CDC)の1種で、 細胞膜においてコレステロールが豊富にある場所にCDCの単量体が集まり、膜孔を形成するとのこと。 さらに詳しく調べると、どんどん深く掘り下げていけるわけですが、ここでは止めておきます。 それにしても、細菌の方も、必死で、生き残り戦略を考えているのですね。 ヒトは、脳を使って、物事を考えます。 物事を考える細胞が脳細胞で、それ以外の細胞は考えない? リステリア菌は、そんな複雑に細胞分化していませんが、生き残り戦略を考えている・・・。 「考える」という行為(メカニズム)は、細胞レベルでは、どのような振舞いに該当するのでしょうか? うーむ、奥が深い!!! |
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