美ヶ原( うつくしがはら)                        [中信] 2034m

 

 3年ぶりのクロカンは美ヶ原へ。美ヶ原は遮るものがなくて風が強そうなので、ずっと敬遠していたのだけれど、1泊で行けそうなところはほとんど行ってしまったので、 試しに行ってみることにした。

 長和町役場から美ヶ原へ上がる県道はずっと雪がなかったが、別荘地の先の、日影が続く谷間でとうとう路面が一面雪に覆われてしまった。仕方なくチェーンを付け るが、久しぶりのことで要領をすっかり忘れてしまい、ずいぶん時間がかかった。ところが、その先で南斜面を登るようになるとまた雪がなくなってしまった。所々日影や橋の上に残っているので、チェーンを外すわけにいかず、雪の部分を選びながら美ヶ原まで上がった。

 美ヶ原は一面の雪景色。今日はいい天気で、まぶしい光にあふれている。今夜の宿の山本小屋で身支度をして、さっそく足慣らしに飛び出す。
 

スノーカイトの凧が青空に舞う (右端は美しの塔)
 

 真っ先に目に飛び込んできたのはたくさんの凧。スノーボードを履いたまま凧を操り、雪面をヨットのように滑っていく。ターンをする時など、凧が風をはらんで、空に飛び出すようにジャンプする。とてもカッコいい。でもこれはとても難しそうだ。風が強すぎても弱すぎても難しい。
 後で調べたらスノーカイトというそうだ。

スノーカイト
 
北アルプス(中央が鹿島槍ヶ岳)
 

 一面の雪原の向こうに、王ヶ頭のアンテナ群がひときわ目を引くが、そちらに行くのは明日にして、きょうは足慣らしとして近くの鹿伏山のピークに向かう。やや霞んではいるものの、正面には北アルプスの白い峰がずらりと並んでいる。
 

鹿伏山山頂付近
 
鹿伏山から牛伏山に向かう
 

 鹿伏山の山頂付近は雪がなくて草が露出している。雪が風で飛ばされてしまうのだろう。山頂からは美ヶ原の広大な雪原が一望に見渡せる。雪原の向こうには浅間山や八ヶ岳連峰が並んでいる。
 一旦下って、西の牛伏山に向かう。雪面はクラストしているところと雪が吹きだまっているところがあるが、見た目では区別がつきにくく、とても滑りにくい。快適な滑降とはいかず、バランスを崩してこける。

 牛伏山山頂の西にはレンガ調の建物が見えるが、美ヶ原高原美術館のようだ。ここからは大雪原を一気に下って山本小屋に戻る。

 
王ヶ頭をバックに 王ヶ頭をバックに
 

 日曜日も快晴。天気予報では暖かい日になると言っていたので、薄着をして出発したら、外は風が強くて体感温度はかなり低い。しばらく我慢していたが、たまらずセーターを着込み、オーバーズボンをはき、何とか風に立ち向かう心構えが出来る。

 昨日以上に北アルプスがよく見え、王ヶ頭の向こうに真っ白な峰々が輝いている。

王ヶ頭のアンテナ群と槍穂連峰
 
 山本小屋ではクロスカントリースキーやスノーシューのツアーをやっているらしく、僕らに先行して10人近いツアー客が雪原を進んでいる。

 美しの塔を過ぎ、夏道の柵に沿って王ヶ頭に向かう。途中王ヶ頭の方から雪上車が雪煙を上げてやってきたので、道を避ける。雪上車は3台も走ってきて、どれも観光客らしき人々が乗っている。
 後から知ったのだが王ヶ頭の山頂にあるホテルも冬季営業しているそうで、おそらくそこの宿泊客の雪上車ツアーだったのだろう。

美しの塔
 

 王ヶ頭の手前で少し傾斜がきつくなるので、下りに自信のない女房はスノーシューに履き替える。スキーでは滑って登りずらいので、僕はスキーを担いでつぼ足で上がる。ほとんど沈まないのでこの方が早い。
 王ヶ頭のホテルの前でひと休み。ホテルの陰で北アルプス方面は見えないが、ぐるりと展望が開ける。中央アルプス、南アルプス、富士山、八ヶ岳連峰、浅間山、頸城山塊と中部地方の山はほとんど見えると言ってもいいくらいだ。
 

浅間山
 
中央アルプス(手前は鉢伏山)
 

  王ヶ頭からホテルの北側を通って王ヶ鼻に向かう。一旦下り、車道をはずれて登りになる。こちらにもアンテナが立っていて、その左手のカラマツ林を抜けると再び北アルプスの展望が開ける。

頸城山塊(真っ白な山が火打山)
 
穂高から鹿島槍ヶ岳への大展望
 
乗鞍岳
 
王ヶ鼻の石仏
 

 王ヶ鼻からは眼下に松本の町が広がり、その上に屏風のように北アルプスの山々が連なっている。御嶽から白馬岳まで一望に眺められる。穂高、槍、常念、立山、剱、鹿島槍、五竜・・・順番に山の名前を挙げ、改めてたくさんの山が見えていることに驚く。振り返れば、八ヶ岳の右手に富士山も見えている。ほんとにすごい。

富士山も見える
 

 王ヶ鼻の眺望を満喫し、少し戻って林の中でランチにする。風がこなくて暖かい。インスタントのスープを作り、コーヒーも飲んでのんびりする。
 帰りは同じコースを戻る。雪原を自由に滑り、思い思いに美しの塔を目指す。相変わらず風が強く、雪が舞いあげられて足元を流れる。帰りは追い風なので、両手を広げれば前に進みそうな気がする。
 小屋に戻って、また温泉に入る。3年ぶりのクロカンは大満足のツアーになった。

ランチ
 

アイコンをクリックするとマップがでます。 <和田(1/50000)>


[山行日]   2008/3/8(土)〜9(日)
[天気] 快晴
[アプローチ] 岡谷IC →(R20)→ 下諏訪 →(R142)→ 長和町 →(県道)→ 美ヶ原山本小屋   [約40km]
山本小屋駐車場まで車が入る。
[コースタイム] 8日 14:20  山本小屋 (0:25) 鹿伏山山頂 (0:35) 牛伏山山頂 (0:15) 山本小屋  15:55    (計1:15)

9日 8:40  山本小屋 (0:15) 美しの塔 (0:55) 王ヶ頭 (0:25) 王ヶ鼻 (0:25) 王ヶ頭 (0:40)  山本小屋 13:10   (計2:40)

スキーとスノーシューの履き替えなどをしているので、あくまでも参考タイムです。
[装備] クロスカントリースキー(エッジ付き)

 

[宿] 美ヶ原高原ホテル山本小屋
・美ヶ原の通年営業の宿。ホテルとも山小屋とも言い難く、ロッジのイメージが近いか。
・温泉があって、早朝から深夜まで入ることができる。
・1泊10,000円程度で、サービスもよくお薦め。