オサンババ(おさんばば)                      [飛騨] 1631m

 

 オサンババとは妙な名だ。ただし国土地理院の地形図には山名が載っていない。荘川源流の山で、今西錦司が「源流を取り囲む烏帽子岳、鷲ヶ岳とともに荘川三山と呼びたい」と言った、とは春日井のよっせーさんに教えてもらったこと。めいほうスキー場からスキーで登れるという情報も、よっせーさんのHPで知った。

 スキーシーズンの東海北陸自動車道はひどい渋滞になるので、土日はダメ。ウィークデイに休みを取ろうと狙っているうちに2月も半ばを過ぎてしまった。少し天気が心配だったが、何とか有給が取れた水曜日に出かけた。

 

  めいほうスキー場のクワッドリフトを2本乗り継いで、ゲレンデの最高地点まで上がる。雲は多いが青空も見える。スキーヤーの少ない上級者ゲレンデの端でスキーにシールを貼る。今回は山頂をピストンした後、ゲレンデを滑って下りるのでテレマークスキーにした。

  僕のテレマークスキーはカットソールだが、刻みが浅くてほとんど登れない。登りにはシールが必要だが、今回初めて板の中央部分だけのショートシールを使ってみることにした。購入してからもう数年たっているが使うのは初めて。粘着面が劣化してないか心配だったが、しっかりくっ付いてくれた。

  歩きはじめてみると、雪は適当に締まっていて、数センチほど沈むだけ。シールもよく効いて、傾斜が緩いせいもあるが快適に歩ける。登りはクロカンよりも上れるし、下りもそこそこ滑りそう。なかなか調子がいい。

シールを付けたスキー(バックは大日ヶ岳)

 

 すでにリフトを降りたところからオサンババのピークが見えているが、直接は登れない。オサンババは烏帽子岳へ続く尾根から北に派生した支尾根の先にあり、ぐるりと大回りしていかなければならない。

 尾根は広く、所々ブナやミズナラの大木が立っている。ダケカンバの幼樹がたくさん生えていて、その間を縫って歩くのだが少々枝がうるさい。

オサンババ
 

  少し下ったところが支尾根の分岐。だだっ広くて目標になる物がなく、ガスっていると分岐だか何だか分からないだろうが、今日は何の心配もない。支尾根の方も広く、傾斜も緩やかで、登りやすい。
 高度が上がると右手にリフトの建物が小さく見えるようになり、かすかにスキー場の音楽が聞こえる。

  だんだん青空が広がってきて、雪面が眩しい。ダケカンバやブナの枝が雪面に網目模様の影を落とす。気分がよくて、顔が緩みっぱなしだ。

烏帽子岳(左端)、鷲ヶ岳(右後方)
 
  リフト終点から見えていたピークに登った後は、地形図にない小さなこぶをいくつか越えて、三角点のピークを探す。地図を見ながらこのあたりだがと見回すと、木の枝の蔭に航空測量の目標になる標識が見つかった。ここが山頂のようだ。

 北の方に白山が見えるが木が少々邪魔。展望を求めて少し北に歩くと木立が途切れて大展望が開けた。

木の影
 
               ↑大日ヶ岳      三ノ峰↑   ↑別山     ↑白山   奥三方岳↑ ↑三方崩山

 

  目の前には真っ白な白山。左手に別山、三ノ峰と続き、スキー場の傷跡が目立つ大日ヶ岳の背後に石徹白の野伏ヶ岳がのぞいている。さらに左には荒島岳も見える。
  白山の右手に大きく盛り上がっているのは奥三方岳と昨年秋に登った三方崩山。荘川の谷を挟んで右手に続くのは猿ヶ馬場山や御前岳だろうか。遠く金剛堂山らしい山も見える。
 北アルプスは残念ながら霞んで雲の中。双眼鏡でよく見れば雲の間にかすかに穂高の吊尾根や剣の黒い岩壁がそれと分かる。スキー場の尾根の先には白いシーツを広げたような飛騨牧場の雪原が見下ろせる。数年前にクロカンで行ったところだ。飛騨牧場と霞んだ北アの間には位山や川上岳が見える。
 

ダケカンバの大木の下でカップヌードルを食べながら展望を楽しむ。風も弱く春のようだ。予想以上に天気がよくてラッキーだった。

のんびり1時間ほど過ごして、同じ道をトレースをたどりながら帰る。登り返しがあるのでシールは付けたまま。適当にスピードが殺されて、下りも快適だ。暖かいので少し雪が腐り始めている。
 ブナの根元だけ雪が融けて、かすかに春を感じさせる。

 

尾根の上のブナ
 

  リフト乗り場まで帰り、シールをはずしてゲレンデを滑って降りる。めいほうスキー場は僕のようなへなちょこテレマーカーにはありがたく、初心者コースが下までずっと続いている。ボーダーが多くて少し気を使うが、長い下りを楽しみながら降りてこられた。

  途中、ゲレンデから外れて中山峠の先の水芭蕉の湿地まで行ってみたかったが、またシールを付けるのが面倒くさくてやめてしまった。こんな時クロカンだと気軽にいけるのだが、またの機会にしよう。

 1時間の登りで楽しめる大展望。天気に恵まれたお気楽バックカントリースキーでした。

 

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[山行日]   2003/2/19(水)
[天気] 晴れ  2℃(山頂)
[アプローチ] 東海北陸自動車道 郡上八幡I.C. →(R472)→ 明宝村 → めいほうスキー場   [約30km]
・スキー場駐車料金1000円
[コースタイム] リフト山頂 (0:25) 尾根分岐 (0:35) オサンババ山頂 (0:20) 尾根分岐 (0:20) リフト山頂 (0:35) スキー場スキーセンター  (計2:15)
[地図] 飛騨大原(1/25000)
[装備] テレマークスキー、ショートシール
[携帯] 山頂通話可。(au)

 

[山名] オサンババの山名について岐阜県のHP「マルチメディア 平成の風土記 岐阜」の 高山市(旧荘川村)の中に以下のように書かれている。

『 登山家からは「オサンババ」と呼ばれているが、地元では「兎ヶ馬場」がなまった、「ウサンババ」と呼んでいる。しかしこの呼び名も本来はこの山の東に広がる傾斜地の呼び名で、山頂に名前はなく、村では国土地理院に「山中山」で登録している。この山名は、すぐ近くの「山中峠」から付けられたものである。 』

*そう言われてみれば山頂付近にはウサギの足跡が多かったな・・・

[スキー場] めいほうスキー場
・リフト山頂まで第一、第二クワッドリフトを乗り継ぐ。クワッドリフトは1回券が2枚必要なので、350円×4枚=1400円かかる。
[温泉] 奥美濃長良川温泉・宝泉(ホーセン)
・郡上八幡の街からR156を南へ約3Km、レストラン大滝苑の裏、ホテル郡上八幡に併設された温泉。
・入浴料500円。
・おみやげ物売り場や宴会場があり、いかにも観光ホテルの温泉という感じ。宴会場では歌謡ショーをやっていた。
・お風呂はサウナや打たせ湯などがあり、設備はよい。
・露天風呂からは長良川の流れが見下ろせて気持ちがいい。
・石鹸、シャンプー、ドライヤーあり。