三国山(みくにやま)                       [奥三河]1162m


 三国山という名前の山は「コンサイス日本山名辞典」には 17山が掲載されている。だが、この三河、美濃、信濃の三国にまたがる山は載っていない。まあ、頂上近くの池ノ平牧場まで林道(農道?)が伸び、しかも山頂南側一帯がバイクのモトクロス場になっていて、あまり登りたくなる山ではないので仕方はない。
 しかし、雪の季節ならば、なだらかな牧場はXCスキーで歩けそうだし、モトクロスコースをたどれば山頂にも行けるだろう。ということで、奥三河に雪の降った週末をねらって出かけてみた。

 

 低気圧が太平洋岸を発達しながら通ったために、かなりの降雪があったようだ。国道153号ですら路面が凍っていて、稲武の街の手前でチェーンを付けるはめになってしまった。随分時間を食ってしまったので、今回は無理かと思ったが、意外にも林道が除雪されていて牧場まで車で上がれてしまった。
 除雪幅が1車線分しかないので対向車がきたらどうしようもないし、雪崩が起きたら帰ることもできないと非常に不安だったが、牧場手前で除雪車に出会ってホッとした。除雪車を運転していたのは牧場近くにある「亀甲苑」という食堂兼民宿の方で、なんと一年中営業しているという。お言葉に甘えて、亀甲苑の駐車場に車を停めさせてもらう。

 幸運にも林道歩きが省略できたので、取りあえず三国山の山頂を目指す。雪雲が低く垂れ込め、山頂はすぐ近くにあるのだが霞んでいる。スキーを履いて歩き出すと新雪で足首の上までもぐる。鶏の鳴き声が聞こえる牧舎の裏を抜けると樹林になった。小さな林で、斜面をトラバースしたら牧場の鉄条網にぶつかってしまった。跨ぐのにスキーを脱いだら腰まで埋まり、雪まみれになる。

 

モトクロスコースからの三国山 モトクロスコースを鞍部に下る

 

 その先はモトクロスコースらしく、潅木の切り開きが錯綜している。切り開きの幅は3m位ある。ヤブこぎなしに快適に歩けるつもりだったが、良く考えてみればモトクロスコースはアップダウンが激しくて大変だった。急な登りは開脚登行でもしんどいくらいだ。行きたい方向にも行けず、登りたくないのに登らなければ ならないのはつらい。

 山頂手前の鞍部からは切り開きの直登。少し登ったところであきらめてスキーをデポする。スキーを脱ぐとまた膝上までもぐる。ストックだけ持ち、雪を掻いて登る。
 小さなピークを越えると山頂だ。ガイドブックのコースタイムで30分のところを、スキー50分、ラッセル10分の1時間かかってしまった。やっとのことで山頂に立ったと言いたいところだが、実際は山頂に埋まったという感じだ。

 

三国山山頂 山頂から牧場方面を眺める


 

 東側が開けており茶臼山方面がみえるらしいが、ガスってしまい展望は無い。牧場付近のなだらかな広がりは、晴れていればクロカンにちょうど良さそうだ。
 モトクロスコースをはさんだ西側はヒノキの植林地になっている。地図を見ると3県の境はこの山頂であるが、三国山の三角点はその植林地の中にあるらしい。だが、とてもではないが行く気になれない。雪が降り出したので、早々に退却する。

 デポ地点まで戻り、鞍部に向かって滑る。急な直滑降だが雪が深く、スピードが出ないのでなんとか転ばずに下りられた。

 

亀甲岩へ続く林道 亀甲岩

 

 鞍部からは、少々遠回りになるが亀甲岩に続く林道をたどる。湿った雪の重みでハンノキの枝が林道に垂れ下がっている。雪景色の森の中はちょっと奥三河の山とは思えない。急に近くからヤマドリが飛び立って驚く。

 雪に埋もれた車道に出ると、直ぐに亀甲岩がある。3mほどの高さの玄武岩で亀の甲状の節理が見られるのだが、雪がくっついて雪だるま状態になっている。ここまでくれば車まで近いが、せっかく持ってきたのだからとカップヌードルを食べる。また、細かい雪が降ってきてカップの上で溶ける。

 なだらかな道を下り、牧場の前からは除雪された車道をスキーを脱いで歩く。
車に帰り着き、駐車させてもらったお礼を言おうと亀甲苑の扉を開けると、囲炉裏があって中はとても暖かかった。気を付けてお帰りください、と親切な言葉がうれしかった。


 アイコンをクリックするとマップがでます。 <横道 (1/25000)>


[山行日]   2001/1/28
[天気] くもり時々雪
[アプローチ] 岡崎 → (R248)(県道39号)→ 足助 →(R153)→ 根羽村 月瀬 (県道492号) 稲武町大桑 →(林道)池ノ平 亀甲苑  [約75km]
根羽村月瀬と稲武町大桑の間の県道もあまり除雪はされていない。
池ノ平から根羽村堂之入への林道も除雪されているように見える。
[コースタイム] 池ノ平 亀甲苑 (1:00) 三国山山頂 (0:35) 亀甲岩 (0:15) 池ノ平 亀甲苑  (計1:50)
[装備] クロスカントリースキー(エッジ付き)

 

[ガイドブック] 「こんなに楽しい愛知の130山」 あつた勤労者山岳会編<風媒社 発行>
[食事] 亀甲苑  tel 05368-4-1150