上高地(かみこうち) [北アルプス]1500m
前日に坂巻温泉に電話をしたら、偶然一部屋空いていた。
「山側の部屋しかなくて・・・」と言われたが泊まれるだけで儲っけもの。実際に行ってみたら山側の部屋ではなく、階段の下の窓のない部屋だった。少々うるさかったが、雪景色の上高地をクロスカントリースキーで歩けるならばそんなことは大した問題ではない。天気は下り坂で夕方からは雨という予報だったが、翌朝は青空のいい天気。意気揚々とスキーをザックにくくりつけて坂巻温泉を出発する。温泉近くのトンネルには日帰りの人の車がたくさん停まっている。安房トンネルの工事の為に坂巻温泉から先は車が入れないので、皆ここから歩いて上高地に向かう。かなりの人が上高地を目指していて、スキー無しのハイカーの方がはるかに多い。
以前、火山ガスの噴出事故があった安房トンネルの工事現場のそばを抜けると、じきに釜トンネルの入り口に着く。トンネルの中は明かりが付いていた。安心して歩けるが、所々路面が凍結していて滑りやすい。 トンネルを抜けると意外にも除雪がしてあった。仕方ないのでスキーを担いだまま歩くが、路面に残った雪がカリカリに凍っていて歩きづらいことこの上ない。 |
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釜トンネルを抜け大正池に向かう。道はカリカリ。 |
大正池ホテルの前で大きなトラクターが除雪作業をしていた。これがずっと釜トンネルから除雪をしてきたようだ。 大正池ホテルは改修中で鉄骨の骨組みだけだ。ここからやっとスキーを履き、田代池を目指す。 田代池はもちろん水面は無く、雪原になっている。白骨化した枯れ木がたくさん立っていて、その向こうに奥穂と前穂の吊り尾根がまぶしく光っている。空は真っ青でこの上なく幸せな気分だ。風も無く暖かくて、手袋も要らないくらいだが、日陰に入るとそれでもちょっと寒い。 |
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田代池。バックは穂高連峰。 |
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ここからは田代橋を目指して樹林の中を行くが、意外に木が多くて歩きにくい。夏道もよくわからず、シラビソの森の中を、とにかく少しでも隙間のありそうなところを探しながら歩く。 田代橋からは梓川沿いを歩く。森の中よりはるかに歩きやすい。河原に鳥がいたのでセキレイかと思ったらコチドリだった。こんな山の中にいるなんてちょっと想像できなかった。川岸の木の根の陰からはマガモが2羽飛び立った。 |
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ハンノキの赤い枝先。 |
梓川沿いに河童橋に向かう。 |
河童橋まではあまり時間はかからなかった。夏場ほどではないもののやはり河童橋は人が多い。上高地に入った人はとりあえずここを目指すのだろう。ハイカーに混じってカメラマンも多い。 お約束の穂高をバックに記念撮影をして、ここから引き返す。 |
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河童橋の上。 |
帰りはできる限り森に入らず、梓川沿いに戻ることにし、大正池に近づいたところで車道に出る。午後になって雪が緩んできて、つぼ足の人は歩きづらそうだ。スキーを担いできた甲斐があったというものだ。 行けるところまで車道をスキーで滑り、大正池と釜トンネルの入り口の中間点ぐらい(標高1450mくらい)でスキーを脱いだ。釜トンネルの入り口あたりはまだ傾いたスケートリンク状態で、意に反してツツーっと滑ってしまう人や、転ぶ人が目立った。 |
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焼岳 |
温泉で汗を流して帰ろうと坂巻温泉で入浴をお願いしたら、宿泊した人は無料でいいですと言われた。お言葉に甘えて、ありがたく露天風呂につかる。たくさん入浴客が居てあまりのんびりはできなかったが、念願の上高地クロカンができて満足感いっぱいだった。
[山行日] | 1996/3/23〜24 (24日に上高地へ) | |
[天気] | 晴れのちくもり | |
[アプローチ] | 長野自動車道 松本I.C. →(R158)→ 島々 →(R158)→ 坂巻温泉 [約35km] | |
[コースタイム] | 坂巻温泉 (0:55) 釜トンネル出口 (0:45) 大正池ホテル前 (1:30) 河童橋 (1:35) 1450m地点 (1:00) 坂巻温泉 (計5:45) | |
[装備] | クロスカントリースキー(エッジ付き) | |
[地図] | 焼岳、上高地 (1/25000) |
[アドバイス] | ・1997年に安房トンネルが完成し、現在は冬季でも釜トンネルの入り口まで車で行ける。ただし、駐車スペースは少ないらしい。 | |
[温泉] | 坂巻温泉
tel 0263-95-2453 ・安房トンネルの長野県側。国道沿いのトンネルにはさまれた一軒宿の温泉。 ・ここに泊まるのは2回目。初めて泊まったときは梓川の対岸にあり、吊り橋を渡った先が玄関だった。昭和59年に今の場所に移転したそうだ。 ・日本秘湯を守る会会員。 ・内湯と男女別の露天風呂がある。入浴だけも可。 |