雨池(あまいけ)                          [北八ヶ岳] 2070m

 

 3月なのに冬型の気圧配置が強まり、日本海側は雪。八ヶ岳も稜線の上を灰色がかった雲が飛び、小雪がちらついている。時々日も射すが、今の時期としてはとても寒い。ピラタス山頂駅の気温はマイナス16℃だった。

 北八ヶ岳は以前よくクロカンに来ていて、麦草峠付近はよく歩いた。ピラタスから五辻へ下り、麦草峠を経て東側の林道を北上するという縞枯山を一周するコースも歩いたことがある。今回はそのとき寄らなかった雨池へ、ピラタスロープウエイからピストンすることにした。余裕があれば八柱山へも足を延ばそう。

 

 今回もクロカン4人、スノーシュー2人の混成部隊。ピラタス山頂駅を10時過ぎに出発する。

 1月に北横岳を登りに来たときにはくっきり青空だったが、今日は近くの北横岳すらガスに霞んでいる。周りの木々は昨夜までの雪を重そうに纏っている。
 上空の風は強そうだが、縞枯山荘への道は坪庭の溶岩台地と縞枯山に挟まれた谷のようになっているので、意外に風はない。赤い旗が点々と立っていて、コースを示している。

縞枯山荘への道

 

緩やかに登り、少し下って縞枯山荘の前にでる。このあたりは風の通り道なのか枯れ木や標識にエビの尻尾がついている。雨池山の山腹は一面霧氷に覆われていて、時々覗く青空をバックにキラキラと輝いている。

 

縞枯山荘

 

雨池山

 

わずかに登って雨池峠。眼下の原生林の中に雨池がよじれた白いハンカチを落としたように細長く見える。ここからはコース中、唯一の難所の下りになる。

 雨池へのコースは出発地点よりも目的地が170mも低いという、山登りならぬ山下りのコース。しかも雨池峠から下の林道までの傾斜が急なので、クロカンで滑り下りるにはちょっとつらいという、下りが楽しめない変なコースになっている。

 

雨池峠からの下り (画面中央奥が八柱山)

 

 しかし、下ってみると積雪が多くて割とスピードが出ない。しかも小さな針葉樹がまばらに生えるだけの開けた斜面なので、斜滑降とキックターンを繰り返してほとんど滑り下りることができた。スノーシュー組はすたすたと下りていくが、クロカン組はこけつまろびつ時間がかかる。でもまあ、スキーなんだからこれが楽しい。

 最後の30mほどはスキーを脱ぎ、トンネル状の樹林帯を腰をかがめて潜り抜けて林道に降り立った。

 ここからはしばらく林道を歩く。すこし下っているので楽ちんで滑って行く。今度はクロカン組がスノーシュー組を引き離すことになる。

 普段はクロカンをやっていてもめったに人に会うことはないが、さすが北八ツはクロカンのメッカだけあって、スノーシューも含めてたくさん歩いている。
 縞枯山荘のツアーと思われるゼッケンを付けたパーティーにも何組かすれ違った。

 

林道を雨池に向かう
 
林道のカーブのところで、スノーシュー組は直接池に降り、クロカン組は少し林道を歩いて傾斜が緩いところを探して南から回りこんで池に降りた。

 樹林を抜けると目の前は真っ白な雪原。かなり広い。秋にはほとんど水がない池だそうだから、水に落ちることはないだろうと、池のど真ん中を横断する。
 新雪が積もったばかりなので雪面は輝くばかりの白。あまりトレースも付いてなくて気持ちがいい。

雨池を横断する
 
 池を横切って、八柱山へのルートを探したがトレースが無く、よく分からない。スノーシュー組はもうお疲れの様子なので、ここで終わりにして少々早いがランチにする。

 池を前に腰を下ろすと、原生林の向こうにひときわ縞枯山が大きい。その右手の雨池山との鞍部が通ってきた雨池峠。さらに右手は三ツ岳で、時々雲が切れるとその背後に真っ白な北横岳の稜線が覗く。

縞枯山
 
 今回はフランスパン、ソーセージ入りのコンソメスープ、ポテトサラダという定番に、JALのミニカップヌードル、茅野のスーパーで買ってきたソバの芽とブロッコリーの芽、Iさんの北海道みやげのトドとアザラシの大和煮の缶詰という、ひねり技が加わったランチになった。いつも飲みすぎて歩けなくなるから今年はやめようと言っていたワインも、結局、栓を抜けば1本半が空いてしまった。

 小雪がずっとちらつき、時々射す日差しがありがたい。見え隠れする北八ツの山を眺めながら1時間のランチタイム。

池に向かって並んでランチ

帰りは行きのコースを戻るだけ。女房の仕度を待っていたら皆、雪原を横断して姿が見えなくなってしまった。追いつくために目の前の樹林の斜面を強引に斜登行で登る。雪が深くてちょっと大変だったがうまく林道に出ることができ、追いつくことができた。
 
 林道は今度は緩い登りになるので歩くしかない。そして分岐から雨池峠へはスキーを担いで登る。

 少しでも楽をするために、一面にスキーやスノーシューのトレースが乱れる中から、つぼ足のステップを選んで一歩一歩登る。さっきのワインが効いてきて心臓がバクバクする。アルコールが入っていなければ大した登りではないのだか、のろのろ登り、何度も休んで雨池峠にたどり着く。

スキーを担いで雨山峠まで登る
 
 ここまでくれば後は楽ちん。スノーシュー組をリードして山頂駅に到着。お疲れ様でした。

 となるのだが、僕だけはロープウエイに乗らずゲレンデを滑り降りる。 僕のはエッジつきのクロカン板なので、片道のロープウエイ代900円を儲けようと靴紐を締め直して林間コースに突っ込む。

 急斜面は斜滑降とキックターンで何とかしのぎ、あとはボーゲンで頑張る。林間コースからゲレンデに出ると幅があるので何とか下れる。でも膝ガクガクでやっぱりしんどかった。

雨山峠から縞枯山荘へ

 

アイコンをクリックするとマップがでます。 <蓼科山(1/50000)>


[山行日]   2003/3/8〜9(日)
[天気] 曇り時々晴れ&小雪
[アプローチ] 8日 中央自動車道諏訪I.C. →(R152)→ 茅野市芹ヶ沢 →(県道192号)→ ピラタススキー場  [約25km]

ピラタス横岳ロープウェイ(所要時間7分)
[コースタイム] ピラタスロープウェイ山頂駅 (0:15) 縞枯山荘 (0:10) 雨池峠 (0:20) 雨池峠下の林道 (0:35) 雨池 (0:35) 雨池峠下の林道 (0:30) 雨池峠 (0:25) ピラタスロープウェイ山頂駅     (計2:50)
[地図] 蓼科(1/25000)
[装備] クロスカントリースキー(エッジ付き)

 

 [スキー場] ピラタススキー場
・ロープウェイ料金 片道900円、往復1800円
・通常は20分間隔で運行。客が多ければ随時運行。