第8回 「稼ぎたい人のプログラミング入門」セミナーより
12月12日に大阪ドームで催されたMac Fan Expo in Kansaiのセミナー「シェアウエアで稼ぎたい人のプログラミング入門 〜 MOSA直伝塾なにわスペシャル」に参加しました。
講師はシェアウエア作家として活躍する、
Setsu、
草薙昭彦、
白井満浩、
久浦広樹
の四氏。(名前をクリックすると作者のページに飛びます)
「もうかりまっか」の大阪を意識したのか、ちょっとどぎついタイトルがついていますが、内容はいたって地味なものでした。
セミナーの内容を忠実に再現したものではありませんが、私なりに興味のあるところをまとめてみました。
開発環境は?
PowerMac7600/200の人が2名、PowerMac7600/120の方が1名、PowerMac6100/60の方が1名でした。ただし遅いマシンでも動作することを確認するため、PowerBook160とかLC475なども所持しています。
開発言語はCまたはC++で、CodeWarriorあるいはSymantec C++でした。C++使用のひとはPowerPlantやTCLを利用して開発しています。
初めはどんな本を使って勉強したか、初心者にすすめる本は
- Macintosh C プログラミング I, II 著者Dave Mark他
- Macintoshアプリケーションプログラミング 上巻下巻 著者新居雅行
- インサイドマック徹底ガイド 上巻下巻 著者BNN第二企画部 発行所ビー・エヌ・エヌ
- K仲川さんのホームページにある『Mac専科』
前の2つは私の「プログラミングを始めたい人のガイド」でも取り上げて解説していますので、そのページを併せてみて下さい。
3番目の本はMacintosh Plusの時代の本なので、もう市販されていないと思います。私は古本屋でみつけたので、持っていますが。
4番目のURLは私のリンク集にもあります。
PowerPlantをマスターするために白井さんがやったのは、デバッガモードにしてPowerPlantの内部のソースを解読し、技法の習得に努めたとのことです。
続けるために心がけていること
Setsuさんの場合は、でき上がった画面(マウスやキーを押しても何にも反応しない)をまずペイントソフトで作る。これを常に座右において、さあ作るぞと自分に気合いをいれる。
いっぱつ儲けてやろうと思って作りはじめても、プログラミングがなかなか完了せず、いやになって途中で投げだしてしまうことが多い。それよりも自分が作って使いたいアプリケーションを作るようにしよう、そのほうが完成する可能性が高い。
本を読んで勉強ばかりしているといやになるので、まずサンプルコードをさわってみよう。ある程度のレベルになったら、自分の作りたいアプリケーションを作りはじめてみよう。そうすれば、どうやって機能を実現したらよいかわからないことが出てくるので、そこを本で調べて攻めていくという方法がよい。そうなれば、AppleのWebページに置いてある、Tech. Noteやサンプルコードが役にたつはずだ。それでもわからなければ、MailingListやNIFTYのフォーラムで質問しよう。親切な先輩が教えてくれます。
シェアウエア配布の仕方
バグがあるうちはフリーウエアの方が無難ですが、ある程度実力が上がってきたら、シェアウエアにした方がいいかもしれません。
シェアウエアにすることにより、登録済ユーザーから遠慮のない意見がかえってきますし、お金をもらうということで、作者にも緊張感と張り合いが生まれます。
作品を配布するには、NIFTY SERVEに登録したり、自分のホームページで公開したりが一般的です。シェアウエア料金の回収には、NIFTY SERVE の送金代行を利用したり、インターネットのKAGIソフトウエアを利用する方法もあります。
海外への配布のすすめ
せっかく作ったソフトです。日本国内だけの配布ではもったいない。ぜひメニューなどを英語にローカライズして、世界中のユーザーに使ってもらいましょう。
SetsuさんのMIDI関係のシェアウエアの登録者の約半分が海外ユーザーです。
草薙さんのゲームソフトは、米国在住のある日本人の方がボランティアで英語版にローカライズして下さり配布しました。その後、英語版をみて仏語、独語にローカライズして下さるボランティアがそれぞれ現われ、現在は4ヵ国語版があるということです。
海外の配布には、ミシガン大学Macアーカイブ(URLはあとで調べてここに入れます)の利用が便利です。ここに作品をBinHexで圧縮して、10行程度の要約を添付してメールすると、InfoMacを始めとする世界中のアーカイブに自動的に配布してくれます。
儲かるの?
誰も具体的には言及しませんでしたが、経費をいれて厳密に計算すれば、どうも赤字のようです。それでも収入はソフトのバージョンアップの費用に変わったり、マシンの買い換えの一助にはなっているようです。
司会者によると、シェアウエア作家の青木康雄さん(とびまるソフト)は、以前勤めていた会社から独立してフリーランスになる際、「コンビニエンスストアでアルバイトしてなんとか家計が維持できるのが目標だった。」とおっしゃっていたとのことですので、現実はなかなか厳しいようです。
爆笑篇
草薙さんの戦略ゲーム「LASTWAR」に関するユーザーからの反応として、やたら詳しいコメントのメールがきた。いわく「ロシア地域の鉱物資源の配分が高すぎる。核兵器の影響指数をもう少し大きくしたほうがよい、などなど・・・」ふしぎに思ってよくよく聞いてみたら、現役の自衛隊の方であった。
久浦さんのメモ帳ソフト「NewNOTEPAD II」、はじめは機能制限のないシェアウエアだったが、ある時期から機能制限をいれるようにした。それは30日間はフリーに使えるというもので、以後は期限切れのダイアログが出るようにしてある。こうすることでシェアウエア料金を払ってくれる方が激増した。理由を考えてみると、ユーザーが使い始めて30日ぐらいすると、そこそこメモがたまってくる。そこへ突然ダイアログが現われ「お払いください」となるので、30日分のメモを捨てたくないため、泣く泣く支払ってくださるのではないか。
記1997年12月13日(文責 出石宗久)
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