第5回 「け」と「ち」は同じファイル名

あるフォルダに中に、同じ名前のファイルを2個作ろうとすると、『この名前“XXX”はすでにあります。他の名前を使ってください。』と警告が出て、作ることができないようになっています。
同様に別のフォルダにあった“XXX”という名前のファイルを、同じ名前のファイルがあるフォルダにいれようとすると、『“XXX”という名前の項目が、すでにここにあります。移動中の項目と入れ換えますか?』というダイアログがでます。
またこのとき、英文(半角)の大文字と小文字は同一視されるので、例えば"ABC"という名前のファイルと"abc"という名前のファイルは、同じフォルダに入れることができません。
このように明確にわかる場合は問題はないのですが、2バイトコードの日本語を使う場合、予想もつかないことがおこります。たとえば、「け」と「ち」が同じ文字とみなされるという奇妙なことがおこるのです。「け」のコードは0x82AF、「ち」 のコードは0x82BFですから、あきらかに違っているのにもかかわらずファイル名としては同じというのは変ですね。


この現象は2バイトコードの文字を1バイトコードの文字として解釈することでおこります。「け」と「ち」を英文用フォントに変えてみるとわかるのですが、それぞれ

というように変化します。問題は後半のφみたいな文字(読み方がわかりませーん)がそれぞれ大文字、小文字の関係にあるため、この2バイトは同じファイル名と見なされてしまうということなんです。
そこでー
OSの改良でなんとかならないものでしょうかねえ、アップルさん。Finderに表示されるフォントの種類はシステムフォントと呼ばれ、この種類を調べることは容易にできます。システムフォントが日本語系(ChineseやKoreanも含めて2バイト文字系)であれば、OSの方で気をきかしてファイルの名前の判別もこれに合わせることもできそうなものです。

と、ここまで考えてきて、これだけではダメなことに気がつきました。下位互換性がないのです。例えばこの新OSで作った「け」と「ち」が同時に入ったフォルダを、現行のOSに持っていった場合どうなるでしょう。たぶん、同じ名前(とみなす)のファイルがあるので、エラーになるに違いありません。

それでも機能拡張書類を現行OSに入れてもらうことで、これは解決できると思うので、なんとかなりませんかねアップルさん!


じつはこんなことがあるということを、以前にNIFTYserveのMac関連の会議室で話されていたのを傍聴したことがあったのですが、当時は気にもとめずに、流し読みして今まですっかり忘れていました。今回たまたま「いけ」と「いち」というファイルを作る必要にせまられ、このことを「再発見」したという顛末でした。おあとがよろしいようで・・・

記1997年9月17日


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