探査機

袴田朱夏言の葉の床

まず結果つぎに理由を言わされて吸えない息がありそうだった

男性用日傘を差せば日陰には性別がない。隠れなくてよい

わたしと組まされるダンスのみじめさを小学四年のわたしがわかる

あたらしい川の名前になりたくて国交省を志望しました

暴力は犯罪ですのポスターの理由のひとりとして乗車する

同僚に絶対見つからない道を帰る 空気にあやまりながら

いもうとをピアスホールが女子にしてシロノワールがもとに戻した

登りたくないと思った夕方の歩道橋から子が下りてくる

二歳から石をもらえばあたたかい忘れるまでの記憶のように

「いえ妻は働いていません」と言う聞かれるたびに話が終わる

やさしさを子宮とともに摘出し母は誰にも甘えなかった

奪うこと もしもわたしが桃ならば太郎じゃなくて桃を産みたい

付箋をつけておいて忘れてしまうのに花をあなたに絶やさぬと言う

夜桜をずっと眺めてああこれは花風邪だねとふたり逝きたし

歩けない距離のまだない子と目指す海浜公園ときどきひとり

花束のように投げられ探査機は無限の夜のさびしさを往く