Issue Date : June,1998

Rod Stewart New Album!


WHEN WE ARE THE NEW BOYS (1998)

Produced by Rod Stewart
Co-Produced by Kevin Savigar

Cigarettes And Alcohol / Ooh LaLa / Rocks / Superstar / Secret Heart / Hotel Chambermaid / Shelly My Love / When We Are The New Boys / Weak / What Do You Want To Do?

本当に本当に Welcome back Rod!

 WHEN WE ARE THE NEW BOYS - 究極の成り上がり、ロッド・スチュワート。彼がまだ、今ほどの名声を手に入れていない新人だった頃、そう1970年前後のパワフルな時代が、見事なまでにこのアルバムで再現されています。

 本当にこのニュー・アルバムを聞いて嬉しくなった人が、多いと思います。ここまで、ロッドの古き良き時代を感じさせてくれるとは、思いませんでした。確かにこの頃のロッドは、ソロ、フェイセズという2足のわらじを履き、ライブにそしてレコーディングにと精力的に活動していました。特に感じるのは、当時の活動はやはりライブが中心、というよりライブをやりたかったのではないでしょうか。発表された数々の名盤を聞いても、作品を創るというより、力一杯に一生懸命に音楽を楽しむというニュアンスに聞く人が動かされた、そう思えるのです。

 アメリカに渡りトム・ダウドと組んで一時代を築いた70年代後半。80年代に入ってからは、その作品としての意味に少しこだわり始めるロッドの姿が見えます。繊細でロマンチストな彼が、少しづつテクニックを会得するにつれて、音を複雑にし、リード・ヴォーカリストとしての方向性を見失っていった時代のように思えます。トレバー・ホーン、ボブ・エズリン、バーナード・エドワーズ、ジャム&ルイス、確かに素晴らしいプロデューサー達です。だだし、私の中でだんだんとロッドが遠くなる気がしました。特に96年のバラード・ベストの、ジャム&ルイスとの共作(ジャム&ルイスは、ソウル界で最も尊敬するプロデューサー)。「ロッド、気持ちは分かるけど.....もう引退してもいいよ」って本当に思ったものでした。

 そして、この WHEN WE ARE THE NEW BOYS。のっけからぶっ飛ばされました。 "Cigarettes And Alcohol"。「引退?どんでもない。まだまだ、好きな音楽をやるのさ!」って。84年に行った武道館での来日コンサート。余りに興奮して、勝手に体が反応してしまう。その時の感覚が、このアルバムで本当に蘇りました。幸いな(悪い?)事に、ロッドがここでカバーしている、イギリスを中心とした若手ミュージシャン達を私はほとんど聴いた事がありません。このジャンルは言わば食わず嫌い。そのため、収録されている11曲すべて活きの良い新曲として聴く事ができました。(タイトル曲 "When We Are The New Boys" だけがオリジナル)

 やっぱり、この中でも特筆すべきは "Ooh La La" でしょう。そう言えばフェイセズの時は、ロン・ウッドが歌ってたんですよね。なかなか憎い選曲です。アレンジも敢えて原曲に習い、ロッドの円熟味が味わえる。このアルバムがここまで割り切ったつくりが出来たのも、ロニー・レインへの追悼の意味もあるとされるこの曲、アンプラグドでのロン・ウッドとの共演などから感じられる一連のフェイセズ再結成への想い? もし、再結成が実現すれば、ロッドとロンの歌声で "Ooh La La" が聴けるでしょうね。

 "Rocks" は、アレンジ的に CAMOUFLAGE に入ってそうな曲。いいですね、ストレート・ロック。この3曲聴いただけで、もうニコニコです。"Superstar" は、ジェフ・バクスター(元ドゥービー・ブラザーズ)の美しきペダル・スティールに導かれて始まる壮大なラブ・ソング。この10年で、ロッドが最も意識してきたバラードの流れの延長線上にあると思います。もともとロッドのバラードと言えば、やはりアコースティックを中心にした叙情的な曲。その意味では "Secret Heart" "Shelly My Love" の方が私はしっくりきます。 "Hotel Chambermaid" は、"Twistin' The Night Away" の頃のような、若々しいロックンロール。こういう曲ってロッドが好きそうです。 "Weak" は、このアルバムの中でもロッド渾身の作品でしょう。作品の雰囲気から、スティービー・ニックス辺りが歌っても似合いそう。"Lead Vocalist" の中でスティービーの "Stand Back" を取り上げてましたが、この曲を聴いて納得しました。せつなく、感傷的な歌は、彼の最も気持ちの入りやすい曲なのでしょう。

 とにもかくにも、また素晴らしい魂を贈ってくれたロッドに ... 感謝。


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